今回のテーマは、「標準管理規約(WEB会議システム等を用いた総会の招集等)」である。

それではさっそく、「マンション管理士試験」で出題された過去問にチャレンジしてみよう。

令和4年度 マンション管理士試験 〔問28〕

〔問 28〕 WEB 会議システム等を用いた総会の招集等に関する次のマンション管理士の意見のうち、標準管理規約によれば、適切なものはいくつあるか。

ア 総会を招集するには、少なくとも総会開催の日の2週間前までに日時、WEB会議システム等にアクセスする方法及び会議の目的を示して組合員に通知を発しなければなりません。
イ 管理者である理事長が総会で管理組合の業務執行に関する報告をするときは、各組合員からの質疑に対して適切に応答する必要があるので、理事長自身はWEB会議システム等により報告することはできません。
ウ 総会の目的が建替え決議や敷地売却決議であるときは、それらの説明会はWEB 会議システム等で行うことができますが、決議そのものはWEB 会議システム等で行うことはできません。
エ 総会において議決権を行使することができない傍聴人としてWEB 会議システム等を用いて議事を傍聴する組合員については、定足数の算出においては出席組合員には含まれないと考えられます。
1 一つ
2 二つ
3 三つ
4 四つ

令和4年度 マンション管理士試験

正解:2

それでは、各肢を検討していこう。
なお、問題は、令和4年4月1日現在施行されている法令等により出題されているが、正解及び解説は令和5年4月1日現在施行されている法令等に基づいて執筆する。

なお、本テーマ(関連も含む)については、これまでにも取り上げている。

ア 正しい。

総会を招集するには、少なくとも会議を開く日の2週間前(会議の目的が建替え決議又はマンション敷地売却決議であるときは2か月前)までに、会議の日時、場所(WEB会議システム等を用いて会議を開催するときは、その開催方法)及び目的を示して、組合員に通知を発しなければならない。(標準管理規約43条1項)

WEB会議システム等を用いて会議を開催する場合における通知事項のうち、「開催方法」については、当該WEB会議システム等にアクセスするためのURLが考えられ、これに合わせて、なりすまし防止のため、WEB会議システム等を用いて出席を予定する組合員に対しては個別にID及びパスワードを送付することが考えられる。(同関係コメント)

イ 誤り。

理事長は、通常総会において、組合員に対し、前会計年度における管理組合の業務の執行に関する報告をしなければならない。(標準管理規約38条3項)

第3項について、WEB会議システム等を用いて開催する通常総会において、理事長が当該システム等を用いて出席し報告を行うことも可能であるが、WEB会議システム等を用いない場合と同様に、各組合員からの質疑への応答等について適切に対応する必要があることに留意すべきである。(同関係コメント②)

したがって、報告できる。

ウ 誤り。

建替え決議又はマンション敷地売却決議を目的とする総会を招集する場合、少なくとも会議を開く日の1か月前までに、当該招集の際に通知すべき事項について組合員に対し説明を行うための説明会を開催しなければならない。(標準管理規約43条7項)

総会と同様に、WEB会議システム等を用いて説明会を開催することも可能である。(同関係コメント)

また、決議そのものもWEB会議システム等で行うことは可能である。(標準管理規約47条1項参照)

したがって、行うことはできる。

エ 正しい。

定足数について、議決権を行使することができる組合員がWEB会議システム等を用いて出席した場合については、定足数の算出において出席組合員に含まれると考えられる。これに対して、議決権を行使することができない傍聴人としてWEB会議システム等を用いて議事を傍聴する組合員については、出席組合員には含まれないと考えられる。
(47条関係コメント①)