今回のテーマは、「不動産」である。
それでは、「ファイナンシャル・プランニング技能検定 3級 学科試験(2023年9月10日実施)」で出題された過去問にチャレンジしてみよう。
ファイナンシャル・プランニング技能検定 3級 学科試験(2023年9月10日実施)【第1問】(21)~(25)
【第1問】 次の各文章((21)~(25))を読んで、正しいものまたは適切なものには〇で、誤っているものまたは不適切なものには✖で答えなさい。
(21) 不動産の登記事項証明書は、対象不動産について利害関係を有する者以外であっても、交付を請求することができる。
(22) 借地借家法によれば、定期建物賃貸借契約(定期借家契約)では、貸主に正当の事由があると認められる場合でなければ、貸主は、借主からの契約の更新の請求を拒むことができないとされている。
(23) 都市計画法によれば、市街化区域については、用途地域を定めるものとし、市街化調整区域については、原則として用途地域を定めないものとされている。
(24) 建築基準法によれば、建築物の敷地が2つの異なる用途地域にわたる場合、その全部について、建築物の用途制限がより厳しい用途地域の建築物の用途に関する規定が適用される。
(25) 「居住用財産を譲渡した場合の長期譲渡所得の課税の特例」(軽減税率の特例)の適用を受けるためには、譲渡した居住用財産の所有期間が譲渡した日の属する年の1月1日において10年を超えていなければならない。
ファイナンシャル・プランニング技能検定 3級 学科試験(2023年9月10日実施)
【注】問題指示文一部改変。
それでは、各肢を検討していこう。
2023年9月実施の問題は、2023年4月1日現在施行されている法令等により出題されているが、本稿の正解及び解説は2023年10月1日現在施行されている法令等に基づいて執筆する。
21 〇
誰でも、手数料を納付して、登記所において登記事項証明書や登記事項要約書の交付を受けることができる。
登記事項証明書
- 登記記録に記録されている事項の全部または一部を証明したもの。
- 登記官による認証文が記載されている。
- 窓口請求だけでなく郵送やオンライン請求ができる。(受領は窓口または郵送に限られる)
登記事項要約書
- 登記記録において現在効力のある事項を記載したもの。
- 登記官の氏名の記載や職員の押印はない。(窓口請求のみ)
(関連)FPトピックス(不動産登記)
22 ✖
定期建物賃貸借契約とは、
更新がなく一定期間で契約が終了する建物賃貸借契約である。
借家期間は1年未満でもよく、最長期間の制限もない。
契約を締結する際には、公正証書等の書面(または、電磁的方法)で行う必要がある。
賃貸人は、契約締結前に、賃借人に対して、「契約の更新がなく、期間満了で終了する」旨を記載した書面(または、電磁的方法)で説明しなければならない。この説明がないと、普通借家契約となる。
1年以上の期間の契約では、賃貸人は、期間終了の1年前から6箇月前までに、賃貸借が終了する旨を賃借人に通知しなければならない。この通知を怠れば、賃貸借の終了を賃借人に対抗できない。
なお、賃貸人が通知期間の経過後にこの通知をした場合は、通知後6箇月を経過した時点で賃貸借は終了する。
したがって、定期建物賃貸借契約(定期借家契約)には、契約の更新はない。
(関連)FP1級の過去問を解こう(2023年1月)「借地借家法」
23 〇
市街化区域
既に市街地を形成している区域及び概ね10年以内に優先的かつ計画的に市街化を図るべき区域
市街化調整区域
市街化を抑制すべき区域
市街化区域には、建物の用途などを制限する13種類の用途地域が定められている。
そして、市街化調整区域には、原則として用途地域の定めはない。
(関連)FP2級の過去問を解こう(2023年5月)「都市計画法」
24 ✖
「規制が異なる地域にわたる」場合、
用途制限については、敷地の過半を占める方の用途制限が適用される。(過半主義)
なお、規制がより厳しい方が適用されるのは、「防火規制」である。
(関連)FP2級の過去問を解こう(2023年5月)「建築基準法の集団規定」
25 〇
居住用財産の軽減税率の特例
譲渡した年の1月1日現在の所有期間が10年超の居住用財産を譲渡した場合、居住用財産の3,000万円の特別控除後の金額のうち、6,000万円以下の部分について軽減税率が適用される。
(所得税は10%(復興特別所得税を含むと10.21%)、住民税は4%)