今回のテーマは、「相続・事業継承」である。

それでは、「ファイナンシャル・プランニング技能検定 3級 学科試験(2023年9月10日実施)」で出題された過去問にチャレンジしてみよう。

ファイナンシャル・プランニング技能検定 3級 学科試験(2023年9月10日実施)【第1問】(26)~(30)

【第1問】 次の各文章((26)~(30))を読んで、正しいものまたは適切なものには〇で、誤っているものまたは不適切なものには✖で答えなさい。

(26) 個人が死因贈与により取得した財産は、課税の対象とならないものを除き、贈与税の課税対象となる。
(27) 親族間において著しく低い価額の対価で土地の譲渡が行われた場合、原則として、その譲渡があった時の土地の時価と支払った対価との差額に相当する金額が、贈与税の課税対象となる。
(28) 共同相続人は、被相続人が遺言により相続分や遺産分割方法の指定をしていない場合、法定相続分どおりに相続財産を分割しなければならない。
(29) 相続税の申告書の提出は、原則として、その相続の開始があったことを知った日の翌日から10カ月以内にしなければならない。
(30) 相続人が相続により取得した宅地が「小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例」における特定居住用宅地等に該当する場合、その宅地のうち330㎡までを限度面積として、評価額の80%相当額を減額した金額を、相続税の課税価格に算入すべき価額とすることができる。

ファイナンシャル・プランニング技能検定 3級 学科試験(2023年9月10日実施)

【注】問題指示文一部改変。

それでは、各肢を検討していこう。
2023年9月実施の問題は、2023年4月1日現在施行されている法令等により出題されているが、本稿の正解及び解説は2023年10月1日現在施行されている法令等に基づいて執筆する。

26 ✖

死因贈与
・贈与者の死亡により効力を生じる贈与
・贈与者が生きている間に受贈者との間で締結される契約である。
・その性質に反しない限り、遺贈に関する規定が準用される。

そして、相続税の課税対象となる

(関連)FPトピックス(贈与と贈与税)

27 〇

贈与税の課税財産

本来の贈与財産

贈与によって取得した金銭に見積もることができる経済的価値のある財産すべて。

みなし贈与財産(贈与によって取得した財産ではないが、実質的に贈与と同様の性質をもち、贈与税が課税される財産)

  • 保険金・・保険料負担者以外の者が保険金を受け取った場合(みなし相続財産となるものを除く)
  • 低額譲渡・・適正な時価と比べて著しく低い価額で財産の譲渡が行われた場合の差額
  • 債務免除・・債務免除や肩代わりを受けた金額(弁済不能な場合の債務免除は贈与税の課税対象外)

(関連)FPトピックス(贈与と贈与税)

28 ✖

遺産分割には、遺言がある場合の指定分割と、遺言がない場合等に相続人全員で協議して決める協議分割等がある。

遺言がなければ、協議分割等を行うことになる。その場合、法定相続分どおりに相続財産を分割しなければならないわけではない。

29 〇

相続税の申告書は、相続の開始があったことを知った日の翌日から10か月以内に提出する。
なお、提出期限が土・日曜日・祝日等に当たる場合は、これらの日の翌日が期限となる。

30 〇

特定居住用宅地等に、「小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例」を適用する場合は、330㎡までの部分につき、80%が減額される。