今回のテーマは、「建築基準法の集団規定」である。
それでは、「ファイナンシャル・プランニング技能検定 2級 学科試験(2023年5月28日実施)」で出題された過去問にチャレンジしてみよう。
ファイナンシャル・プランニング技能検定 2級 学科試験(2023年5月28日実施)問題46
問題 46
都市計画区域および準都市計画区域内における建築基準法の規定に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
1.建築基準法第42条第2項により道路境界線とみなされる線と道路との間の敷地部分(セットバック部分)は、建蔽率および容積率を算定する際の敷地面積に算入することができない。
2.第一種低層住居専用地域、第二種低層住居専用地域または田園住居地域内における建築物の高さは、原則として、10mまたは12mのうち都市計画で定められた限度を超えることができない。
3.近隣商業地域、商業地域および工業地域においては、地方公共団体の条例で日影規制(日影による中高層の建築物の高さの制限)の対象区域として指定することができない。
4.建築物が防火地域および準防火地域にわたる場合においては、原則として、その全部について防火地域内の建築物に関する規定が適用される。
ファイナンシャル・プランニング技能検定 2級 学科試験(2023年5月28日実施)
それでは、各肢を検討していこう。
2023年5月実施の問題は、2022年10月1日現在施行されている法令等により出題されているが、正解及び解説は2023年4月1日現在施行されている法令等に基づいて執筆する。
本テーマについては、これまでに扱っている。↓
FP1級の過去問を解こう(2023年5月)「用途地域内の建築制限」
1 正しい。
建築基準法3章の規定(集団規定)の適用の際、現に建築物が、立ち並んでいる道で、特定行政庁が指定したものは、幅員が4m未満であっても道路とみなされる。
この場合、現況道路の中心線から水平距離2mずつ両側に後退した線が道路境界線とみなされる。
この規定が建築基準法42条2項に設けられていることから、この道を一般に42条2項道路という。
ただし、中心線から2m未満で、一方が、がけ地、川、線路敷地等である場合には、川等から4m後退した線が道路境界線とみなされる。このように道路境界線を後退させることを、セットバックという。
そして、道路境界線とみなされる線と道路との間の敷地部分(セットバック部分)は、建蔽率および容積率を算定する際の敷地面積に算入することができない。
2 正しい。
第一種低層住居専用地域、第二種低層住居専用地域または田園住居地域内においては、建築物の高さは、原則として、10mまたは12mのうち都市計画で定められた限度を超えることができない。
3 誤り。
日影規制とは、中高層建築物の建築により、周辺に生じるその建物の日影を、冬至日において一定時間内に規制するために、建築物の高さや形状等を制限するものである。
日影規制は、商業地域および工業地域、工業専用地域以外で、地方公共団体の条例で定める区域で適用される。
したがって、近隣商業地域は、日影規制の適用対象地域に含まれる。
4 正しい。
建築物が、防火地域の内外にわたる場合には、原則として、厳しいほうの防火地域の規制を受ける。