今回のテーマは、民法の「使用貸借」である。

それでは、「マンション管理士試験」で出題された過去問にチャレンジしてみよう。

令和5年度 マンション管理士試験 〔問15〕

〔問 15〕 甲マンション202 号室を所有しているAは、友人であるBとの間で、同室を無償で貸す旨の使用貸借契約を締結し、Bに引き渡した。この場合に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、正しいものはどれか。

1 使用貸借契約が書面でされていない場合には、Aは、書面によらない使用貸借であることを理由に、使用貸借契約を解除することができる。
2 災害によって202 号室が損傷した場合には、Bは、Aに対し、その修繕を請求することができる。
3 使用貸借契約の締結後にBが死亡した場合には、使用貸借契約に基づく借主の地位はBの相続人に相続され、Bの相続人が202 号室を無償で使用することができる。
4 使用貸借契約において、使用貸借の期間並びに使用及び収益の目的を定めなかったときは、Aは、いつでも使用貸借契約を解除することができる。

令和5年度 マンション管理士試験

正解:4

1 誤り。

貸主は、借主が借用物を受け取るまで、契約の解除をすることができる(民法593条の2)
本肢の場合、引き渡しされているので、書面によらない使用貸借であっても解除することはできない。

2 誤り。

使用貸借では、貸主は、借主に対して、目的物の使用収益を妨げないという消極的義務を負う。
このため、貸主は、目的物の通常の必要費を負担しなくてもよいし(595条1項)、修繕義務も負わない
借主は、借用物の通常の必要費を負担するが、災害による損傷のような特別の必要費は負担しない(貸主の負担)。
ただし、その修繕を請求することまではできない
なお、借主が特別の必要費を支出したときは、目的物の返還時に貸主に償還させることができる。
(595条2項、583条2項、196条1項本文)

3 誤り。

使用貸借は、借主の死亡によって終了する。(597条3項)
借主が死亡すれば、その地位は相続されない。

4 正しい。

当事者が使用貸借の期間並びに使用及び収益の目的を定めなかったときは、貸主は、いつでも契約の解除をすることができる。(598条2項)

したがって、Aは、いつでも使用貸借契約を解除することができる。