今回のテーマは、「標準管理規約(理事、理事会等)」である。
それではさっそく、「マンション管理士試験」で出題された過去問にチャレンジしてみよう。
令和4年度 マンション管理士試験 〔問30〕
〔問 31〕 理事、理事会等に関する次の記述のうち、標準管理規約によれば、適切なものはどれか。
1 理事会で、理事長、副理事長及び会計担当理事の役職解任の決議をする場合、WEB 会議システム等によって行うことはできない。
2 総会提出議案は、理事の過半数の承諾があれば、書面又は電磁的方法により理事会で決議することができる。
3 理事が止むを得ず理事会を欠席する場合には、規約の明文の規定がなくても、あらかじめ通知された事項について書面で賛否を記載し意思表示することが認められる。
4 理事長は、未納の管理費等及び使用料の請求に関し、管理組合を代表して訴訟を追行する場合には、理事会の決議を経ることが必要である。
令和4年度 マンション管理士試験
それでは、各肢を検討していこう。
なお、問題は、令和4年4月1日現在施行されている法令等により出題されているが、正解及び解説は令和5年4月1日現在施行されている法令等に基づいて執筆する。
なお、本テーマについては、これまでにも取り上げている。
1 誤り。
理事会の会議(WEB会議システム等を用いて開催する会議を含む。)は、理事の半数以上が出席しなければ開くことができず、その議事は出席理事の過半数で決する。(標準管理規約53条1項)
理事長、副理事長及び会計担当理事の選任及び解任は、理事会の決議により行う。(標準管理規約54条1項11号)
したがって、WEB 会議システム等によって行うことはできる。
2 誤り。
①専有部分について、修繕等で、共用部分又は他の専有部分に影響を与えるおそれのあるものを行おうとするときの承認または不承認、②共用部分等の保存行為の承認または不承認、③窓ガラス等の改良工事についての承認または不承認については、理事の過半数の承諾があるときは、書面又は電磁的方法による決議によることができる。
(標準管理規約53条2項、54条1項5号)
しかし、総会提出議案については、書面又は電磁的方法による決議はできない。
3 誤り。
理事がやむを得ず欠席する場合には、代理出席によるのではなく、事前に議決権行使書又は意見を記載した書面を出せるようにすることが考えられる。これを認める場合には、理事会に出席できない理事が、あらかじめ通知された事項について、書面をもって表決することを認める旨を、規約の明文の規定で定めることが必要である。
(標準管理規約53条関係コメント④)
4 正しい。
理事長は、未納の管理費等及び使用料の請求に関して、理事会の決議により、管理組合を代表して、訴訟その他法的措置を追行することができる。(標準管理規約60条4項)