今回のテーマは、民法の「無権代理」である。

それでは、「令和5年度 管理業務主任者試験」で出題された過去問にチャレンジしてみよう。

令和5年度 管理業務主任者試験問題 【問 2】

【問 3】 Aが、代理権を有しないにもかかわらず、Bの代理人と称して、Cとの間でB所有のマンションの一住戸の売買契約(以下、本問において「本件売買契約」という。)を締結した場合に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、最も不適切なものはどれか。ただし、Aは制限行為能力者ではないものとする。

1  Aの行為は無権代理行為であるが、Bが追認をすれば、本件売買契約は有効となる。
2  本件売買契約が締結されたときに、CがAに代理権がないことを知っていた場合は、Cは、Bに対して、追認をするかどうかを確答すべき旨を催告することができない。
3  CがBに対し、相当の期間を定めて、その期間内にAの無権代理行為を追認するかどうかを確答すべき旨を催告した場合において、Bがその期間内に確答をしないときは、Bは、追認を拒絶したものとみなされる。
4  CがBに対し、相当の期間を定めて、その期間内にAの無権代理行為を追認するかどうかを確答すべき旨を催告した場合において、Bが追認を拒絶したときは、Aは、Cに対して、Cの選択に従い、本件売買契約の履行又は損害賠償の責任を負う。

令和5年度 管理業務主任者試験問題

正解:2

それでは、各肢を検討していこう。
なお、問題は、2023年4月1日現在施行されている法令等により出題されているが、正解及び解説は執筆日現在施行されている法令等に基づいて執筆する。

1 正しい。

代理権を有しない者が他人の代理人としてした契約は、本人がその追認をしなければ、本人に対してその効力を生じない。(民法113条1項)
なお、追認は、別段の意思表示がないときは、契約の時にさかのぼってその効力を生ずる。(116条1項)

2 誤り。

無権代理の場合において、相手方は、本人に対し、相当の期間を定めて、その期間内に追認をするかどうかを確答すべき旨の催告をすることができる。(114条前段)
なお、催告権は、代理権を有しないことにつき、相手方の善意・悪意を問わず、行使することができる。

3 正しい。

無権代理の場合において、相手方は、本人に対し、相当の期間を定めて、その期間内に追認をするかどうかを確答すべき旨の催告をすることができる。(114条前段)
そして、この場合において、本人がその期間内に確答をしないときは、追認を拒絶したものとみなす。(同条後段)

4 正しい。

他人の代理人として契約をした者は、自己の代理権を証明したとき、又は本人の追認を得たときを除き、相手方の選択に従い、相手方に対して履行又は損害賠償の責任を負う。(117条1項)