それでは、「ファイナンシャル・プランニング技能検定 3級 学科試験(2023年5月28日実施)」で出題された過去問にチャレンジしてみよう。

ファイナンシャル・プランニング技能検定 3級 学科試験(2023年5月28日実施)【第1問】(21)~(30)

次の各文章((21)~(30))を読んで、正しいものまたは適切なものには①を、誤っているものまたは不適切なものには②を、解答用紙にマークしなさい。

(21) 不動産登記には公信力が認められていないため、登記記録上の権利者が真実の権利者と異なっている場合に、登記記録を信じて不動産を購入した者は、原則として、その不動産に対する権利の取得について法的に保護されない。

(22) アパートやマンションの所有者が、当該建物を賃貸して家賃収入を得るためには、宅地建物取引業の免許を取得しなければならない。

(23) 都市計画区域内にある建築物の敷地は、原則として、建築基準法に規定する道路に2m以上接していなければならない。

(24) 個人が相続により取得した被相続人の居住用家屋およびその敷地を譲渡し、「被相続人の居住用財産(空き家)に係る譲渡所得の特別控除の特例」の適用を受けるためには、譲渡資産の譲渡対価の額が6,000万円以下であることなどの要件を満たす必要がある。

(25) 土地の有効活用において、一般に、土地所有者が入居予定の事業会社から建設資金を借り受けて、事業会社の要望に沿った店舗等を建設し、その店舗等を事業会社に賃貸する手法を、建設協力金方式という。

(26) 書面によらない贈与契約は、その履行前であれば、各当事者は契約の解除をすることができる。

(27) 特別養子縁組が成立した場合、養子となった者と実方の父母との親族関係は終了する。

(28) 自筆証書遺言書保管制度を利用して、法務局(遺言書保管所)に保管されている自筆証書遺言については、家庭裁判所による検認の手続を要しない。

(29) 相続人が負担した被相続人に係る香典返戻費用は、相続税の課税価格の計算上、葬式費用として控除することができる。

(30) 「配偶者に対する相続税額の軽減」の適用を受けることができる配偶者は、被相続人と法律上の婚姻の届出をした者に限られ、いわゆる内縁関係にある者は該当しない。

ファイナンシャル・プランニング技能検定 3級 学科試験(2023年5月28日実施)【第1問】(21)~(30)

それでは、各肢を検討していこう。
2023年5月実施の問題は、2022年10月1日現在施行されている法令等により出題されているが、正解及び解説は2023年4月1日現在施行されている法令等に基づいて執筆する。

21 ①正しい。

我が国の不動産登記には、対抗力はあるが、公信力はない。

対抗力

正当な自己の権利(所有権など)を第三者に主張できること。

公信力

事実と異なる権利関係が公示されている場合に、その公示を信じて取引した者が保護される効力のこと。

22 ②誤り。

保有する建物を自らが貸主となって他人に賃貸する場合は、宅地建物取引業にはあたらない。
したがって、宅地建物取引業の免許は不要である

23 ①正しい。

接道義務
建築物の敷地は、原則として幅員4m以上の道路(自動車専用道路は除く)に2m以上接していなければならない。

24 ②誤り。

被相続人の居住用財産(空き家)に係る譲渡所得の特別控除の特例
相続または遺贈により取得した被相続人居住用家屋または被相続人居住用家屋の敷地等を、一定期間内に売って、一定の要件に当てはまるときは、譲渡所得の金額から最高3,000万円まで控除することができる。

特例の対象となる「被相続人居住用家屋」とは、相続の開始の直前において被相続人の居住の用に供されていた家屋で、次の3つの要件すべてに当てはまるもの(主として被相続人の居住の用に供されていた一の建築物に限ります。)をいう。

  • 昭和56年5月31日以前に建築されたこと。
  • 区分所有建物登記がされている建物でないこと。
  • 相続の開始の直前において被相続人以外に居住をしていた人がいなかったこと。

また、特例の対象となる「被相続人居住用家屋の敷地等」とは、相続の開始の直前において被相続人居住用家屋の敷地の用に供されていた土地またはその土地の上に存する権利をいう。

特例の適用を受けるためには、譲渡資産の譲渡対価の額が1億円以下でなければならない

(参考)No.3306 被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例(国税庁ホームページ)

25 ①正しい。

建設協力金方式とは
土地所有者が、建物等の借主(テナント)から建設資金の全部または一部を借りて事業用建物を建設する方式である。
(建物はテナントのニーズに合わせる)

26 ①正しい。

書面によらない贈与は、各当事者が解除をすることができる。(民法550条本文)→取り消し可能

なお、履行の終わった部分については解除できない。(同ただし書き)→取り消し不可

27 ①正しい。

特別養子縁組は、実親との親子関係が終了し、養親との親子関係のみが存続する。(民法817条の2)

28 ①正しい。

自筆証書遺言保管制度では、自筆証書遺言は法務局で保管できる。この場合、裁判所の検認は不要である

29 ②誤り。

相続や遺贈で財産を取得した者が被相続人の借金や一定の未払金、葬儀費用を負担した場合、相続税を計算する際に財産価額から控除できる。これを債務控除という。

しかし、香典返しの費用は控除できない

30 ①正しい。

配偶者の税額軽減の特例とは

被相続人の配偶者が相続または遺贈により実際に取得した財産が、1億6,000万円までか、それを超えても法定相続人相当分であれば、相続税は課されない。

そして、要件の一つとして、法律上の婚姻関係があることを要する