それでは、「ファイナンシャル・プランニング技能検定 3級 学科試験(2023年5月28日実施)」で出題された過去問にチャレンジしてみよう。
ファイナンシャル・プランニング技能検定 3級 学科試験(2023年5月28日実施)【第1問】(11)~(20)
次の各文章((11)~(20))を読んで、正しいものまたは適切なものには①を、誤っているものまたは不適切なものには②を、解答用紙にマークしなさい。
(11) 全国企業短期経済観測調査(日銀短観)は、企業間で取引される財に関する価格の変動を測定した統計である。
(12) 投資信託のパッシブ運用は、日経平均株価や東証株価指数(TOPIX)などのベンチマークに連動した運用成果を目指す運用手法である。
(13) 一般に、残存期間や表面利率(クーポンレート)が同一であれば、格付の高い債券ほど利回りが低く、格付の低い債券ほど利回りが高くなる。
(14) 配当性向とは、株価に対する1株当たり年間配当金の割合を示す指標である。
(15) オプション取引において、特定の商品を将来の一定期日に、あらかじめ決められた価格(権利行使価格)で売る権利のことを、コール・オプションという。
(16) 所得税において、国債や地方債などの特定公社債の利子は、総合課税の対象となる。
(17) 退職手当等の支払を受ける個人がその支払を受ける時までに「退職所得の受給に関する申告書」を提出した場合、その支払われる退職手当等の金額に20.42%の税率を乗じた金額に相当する所得税および復興特別所得税が源泉徴収される。
(18) 所得税において、国民年金基金の掛金は、社会保険料控除の対象となる。
(19) 所得税において、生計を一にする配偶者の合計所得金額が48万円を超える場合、配偶者控除の適用を受けることはできない。
(20) 住宅ローンを利用してマンションを取得し、所得税の住宅借入金等特別控除の適用
を受ける場合、借入金の償還期間は、20年以上でなければならない。
ファイナンシャル・プランニング技能検定 3級 学科試験(2023年5月28日実施)
それでは、各肢を検討していこう。
2023年5月実施の問題は、2022年10月1日現在施行されている法令等により出題されているが、正解及び解説は2023年4月1日現在施行されている法令等に基づいて執筆する。
11 ②誤り。
全国企業短期経済観測調査(日銀短観)は,
業種別(製造業、非製造業など)・規模別(大企業・中堅企業・中小企業)に分けた約1万社の企業経営者に自社の経営環境などに関して行うアンケート。業況については、「良い」、「さほど良くない」、「悪い」で回答。
12 ①正しい。
ベンチマークに連動するように運用する方法が、パッシブ運用である。一方、ベンチマークを上回る運用成果を目指す方法がアクティブ運用である。
13 ①正しい。
一般的に他の条件が同じであれば、格付けが高い債券ほど、価格が高いため、利回りは低くなる。
14 ②誤り。
配当性向とは、当期純利益に対する年間の配当金額の割合を示す。
配当性向(%) = $ \frac{配当金}{当期純利益}×100$
15 ②誤り。
オプション取引において、売る権利のことを、プット・オプションという。
なお、買う権利のことを、コール・オプションという。
16 ②誤り。
所得税において、国債や地方債などの特定公社債の利子は、利子所得として、源泉徴収されるので、申告は不要。
なお、確定申告する場合は、申告分離課税となる。
17 ②誤り。
「退職所得の受給に関する申告書」を提出した場合、適切な税額が源泉徴収されて、課税関係が終了する。
なお、設問は、「退職所得の受給に関する申告書」を提出していない場合である。
18 ①正しい。
所得税において、国民年金基金の掛金は、全額、社会保険料控除の対象となる。
19 ②正しい。
配偶者控除を受けられない場合
- 納税者本人の合計所得金額が1,000万円(年収では1,195万円)を超えている場合
- 青色事業専従者や白色事業専従者となっている場合
- 配偶者の合計所得金額が48万円(給与収入で年収が103万円)を超えている場合
20 ②誤り。
借入金の償還期間は、10年以上でなければならない。