今回は、「不動産登記」を取り上げる。なお、本稿は、2022年(令和4年)10月現在の情報に基づいている。それでは、過去問で問われたポイントを中心にみていこう。

不動産登記記録の構成

不動産登記記録は、表題部権利部(甲区・乙区)から構成されている。

不動産登記は、土地は一筆ごと、建物は一個ごとに記録される。データ化されて登記所(法務局)に備えられている。

表題部 

登記義務あり※
土地(登記原因、所在、地番、地目、地積など)
建物(登記原因、所在、家屋番号、種類、構造、床面積など)

※所有権を取得してから1か月以内に所有者が申請しなければならない。

権利部

登記義務なし※
甲区(所有権に関する事項(差押も含む))
乙区(所有権以外の権利に関する事項(抵当権、賃貸権など))

  • ※2024年4月1日以降は相続登記が義務化される予定。
  • 土地登記の地番、建物登記の家屋番号は、必ずしも住居表示と一致しない。

登記の効力

  • 不動産の物権変動を公示する。
  • 物権変動を第三者に対抗するための手段。(対抗要件)

対抗力

登記をすれば、権利を第三者に対抗できる
(例外)借地上の建物を登記→借地権の登記なしで借地権を対抗できる。     
建物の引渡し→借家権の登記なしで借家権を対抗できる。

  • 仮登記は順位保全の効力がある。仮登記だけでは第三者に対抗できないが、仮登記に基づく本登記をすると、仮登記後になされた登記に対抗できる。
  • 登記には、公信力はなく、登記を信用し登記上の無権利者と取引した者は保護されない

不動産登記の調査

誰でも、手数料を納付して、登記所において登記事項証明書や登記事項要約書の交付を受けることができる。

登記事項証明書

  • 登記記録に記録されている事項の全部または一部を証明したもの。
  • 登記官による認証文が記載されている。
  • 窓口請求だけでなく郵送オンライン請求ができる。(受領は窓口または郵送に限られる)

登記事項要約書

  • 登記記録において現在効力のある事項を記載したもの。
  • 登記官の氏名の記載や職印の押印はない。(窓口請求のみ)

その他の調査資料

調査資料と設置場所

登記所(法務局)登記事項証明書、地図、公図、地積測量図
市区町村役場固定資産課税台帳、都市計画図
調査資料と設置場所

登記所(法務局)で閲覧できる調査資料

種類内容
公図
(精度は低い)
旧土地台帳の付属地図。地図に準ずる図面。
不動産登記法14条地図
(精度は高い)
土地の境界線を正確に示している。ただし、設置されていない土地も多い。
地積測量図
(精度は高い)
土地の表題登記や分筆登記申請時に提出される図面。
すべての土地について存在するものではない。
登記所(法務局)で閲覧できる調査資料

それでは、これまで見てきたポイントを過去問で確認してみよう。

過去問にチャレンジ

問題 41
不動産の登記や調査に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。

1.同一の不動産について二重に売買契約が締結された場合、譲受人相互間においては、売買契約の締結の先後にかかわらず、原則として、所有権移転登記を先にした者が当該不動産の所有権の取得を対抗することができる。

2.抵当権の設定を目的とする登記では、債権額や抵当権者の氏名または名称は、不動産の登記記録の権利部乙区に記載される。

3.一般に公図と呼ばれる地図に準ずる図面は、地図が登記所に備え付けられるまでの間、これに代えて登記所に備えられているものであり、一筆または二筆以上の土地ごとに土地の位置、形状および地番を表示するものである。

4.不動産の登記事項証明書の交付を請求することができるのは、当該不動産の利害関係者に限られる。

正解 4

1 正しい
2 正しい
3 正しい
4 誰でも請求できる。

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