賃貸不動産経営管理士について

賃貸不動産管理業務において、高度な専門的知識と倫理観を持ち業務にあたる、賃貸不動産管理に関する専門家のことです。
また本資格は、賃貸不動産管理業務に関する唯一の資格制度です。
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一般社団法人賃貸不動産経営管理士協議会 のサイトより

今回のテーマは、「保証契約」である。

それでは、「賃貸不動産経営管理士」試験で出題された民法の過去問にチャレンジしてみよう。

令和3年度 賃貸不動産経営管理士試験問題

【問 27】 Aを貸主、Bを借主とする建物賃貸借においてCを連帯保証人とする保証契約に関する次の記述のうち、誤っているものの組合せはどれか。ただし、それぞれの選択肢に記載のない事実はないものとする。 

ア Bが賃料の支払を怠ったので、AがCに対して保証債務履行請求権を行使した場合、Cは、Bには弁済する資力があり、かつその執行が容易である旨を証明すれば、AがBの財産について執行を行わない間は保証債務の履行を免れる。 

イ Aの賃料債権を被担保債権とする抵当権がD所有の甲不動産に設定されていた場合、Dの負う責任は甲不動産の範囲に限られるところ、Cの負う責任はCの全財産に及ぶ。 

ウ Cが自然人ではなく法人の場合は、極度額を書面で定めなくてもよい。 

エ Bの賃借人の地位がAの承諾の下、第三者に移転した場合、Cが引き続き連帯保証債務を負担することを「保証の随伴性」という。 
 
1 ア、イ 
2 イ、ウ 
3 ウ、エ 
4 ア、エ

令和3年度 賃貸不動産経営管理士試験問題 
令和3年11月21日
正解:4

それでは、各肢を検討していこう。なお、2022年4月1日現在の法令に基づいているものとする。

ア 誤り。

債権者が保証人に債務の履行を請求したときは、保証人は、まず主たる債務者に催告をすべき旨を請求することができる。(催告の抗弁権 452条本文)

また、債権者が主たる債務者に催告をした後であっても、保証人が主たる債務者に弁済をする資力があり、かつ、執行が容易であることを証明したときは、債権者は、まず主たる債務者の財産について執行をしなければならない。(検索の抗弁権 453条)

ただし、連帯保証人は、これらの抗弁権を有しない。(454条)

したがって、Cは、Bには弁済する資力があり、かつその執行が容易である旨を証明しても、保証債務の履行を免れない。

(催告の抗弁)
第四百五十二条 債権者が保証人に債務の履行を請求したときは、保証人は、まず主たる債務者に催告をすべき旨を請求することができる。ただし、主たる債務者が破産手続開始の決定を受けたとき、又はその行方が知れないときは、この限りでない。
(検索の抗弁)
第四百五十三条 債権者が前条の規定に従い主たる債務者に催告をした後であっても、保証人が主たる債務者に弁済をする資力があり、かつ、執行が容易であることを証明したときは、債権者は、まず主たる債務者の財産について執行をしなければならない。
(連帯保証の場合の特則)
第四百五十四条 保証人は、主たる債務者と連帯して債務を負担したときは、前二条の権利を有しない。

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イ 正しい。

抵当権者は、債務者又は第三者が占有を移転しないで債務の担保に供した不動産について、他の債権者に先立って自己の債権の弁済を受ける権利を有する。(369条1項)

一方で、保証人は、主たる債務者がその債務を履行しないときに、その履行をする責任を負う。(446条1項)保証人の責任は、特定の財産の範囲に限定されていない

したがって、Dの負う責任は抵当権が設定された甲不動産の範囲に限られるが、Cの負う責任はCの全財産に及ぶ。

(抵当権の内容)
第三百六十九条 抵当権者は、債務者又は第三者が占有を移転しないで債務の担保に供した不動産について、他の債権者に先立って自己の債権の弁済を受ける権利を有する。
(略)
(保証人の責任等)
第四百四十六条 保証人は、主たる債務者がその債務を履行しないときに、その履行をする責任を負う。
2 保証契約は、書面でしなければ、その効力を生じない。
3 保証契約がその内容を記録した電磁的記録によってされたときは、その保証契約は、書面によってされたものとみなして、前項の規定を適用する。

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ウ 正しい。

個人根保証契約は、書面又は電磁的方法により、極度額を定めなければ、その効力を生じない。(465条の2②項、③項、446条2項、3項)

なお、個人根保証契約とは、一定の範囲に属する不特定の債務を主たる債務とする保証契約であって、保証人が法人でないものをいう。(465条の2①項)

したがって、Cが法人の場合は、極度額を書面で定めなくてもよい。

(個人根保証契約の保証人の責任等)
第四百六十五条の二 一定の範囲に属する不特定の債務を主たる債務とする保証契約(以下「根保証契約」という。)であって保証人が法人でないもの(以下「個人根保証契約」という。)の保証人は、主たる債務の元本、主たる債務に関する利息、違約金、損害賠償その他その債務に従たる全てのもの及びその保証債務について約定された違約金又は損害賠償の額について、その全部に係る極度額を限度として、その履行をする責任を負う。
2 個人根保証契約は、前項に規定する極度額を定めなければ、その効力を生じない。
3 第四百四十六条第二項及び第三項の規定は、個人根保証契約における第一項に規定する極度額の定めについて準用する。

民法・e-Gov法令検索

エ 誤り。

「保証の随伴性」とは、主たる債務の債権者に変更が生じた場合、保証債務履行請求権も債権者の変更に伴って新債権者に移行することをいう。