今回のテーマは、「賃料」である。

それではさっそく、「賃貸不動産経営管理士試験」で出題された過去問にチャレンジしてみよう。

令和4年度 賃貸不動産経営管理士試験 【問 20】

【問 20】 賃料に関する次の記述のうち、適切なものはどれか。

1 貸主が支払期限を知っている通常の場合、賃料債権は、5年の消滅時効に服する。
2 建物賃貸借契約における賃料は、建物使用の対価であるので、貸主は、借主が使用する敷地の対価を当然に別途請求することができる。
3 貸主が死亡し、その共同相続人が賃貸住宅を相続した場合、遺産分割までの賃料債権は、金銭債権として、相続財産となる。
4 借主が滞納賃料の一部を支払う場合であって、弁済充当の合意がないときは、支払時に貸主が指定した債務に充当され、借主はこれに従わなければならない。

令和4年度 賃貸不動産経営管理士試験

正解:1

それでは、各肢を検討していこう。
なお、問題は、令和4年4月1日現在施行されている法令等により出題されているが、正解及び解説は令和5年4月1日現在施行されている法令等に基づいて執筆する。

1 正しい。

債権は、債権者が権利を行使することができることを知った時から5年間行使しないとき、時効によって消滅する。(民法166条1項1号)

2 誤り。

建物賃貸借契約の場合、賃貸借の目的は建物である。ただし、賃借人は建物の使用に必要な範囲でその敷地を利用できる権利を有する。そして、賃料には、その敷地の使用の対価も含まれる。

したがって、敷地の対価を当然に別途請求することはできない。

3 誤り。

遺産分割までの賃料債権は、遺産とは別個の財産であり、遺産分割の対象ではなく、各共同相続人がその相続分に応じて分割単独債権として確定的に取得する。

したがって、相続財産とならない。

4 誤り。

債務者が同一の債権者に対して同種の給付を目的とする数個の債務を負担する場合において、弁済として提供した給付が全ての債務を消滅させるのに足りないとき(元本のほか利息及び費用を支払うべき場合を除く)は、弁済をする者は、給付の時に、その弁済を充当すべき債務を指定することができる。(民法488条1項)

そして、弁済をする者がこの指定をしないとき、弁済を受領する者は、その受領の時に、その弁済を充当すべき債務を指定することができる。ただし、弁済をする者がその充当に対して異議を述べることができる。(同2項)

したがって、支払時に貸主が指定した債務に充当され、借主はこれに従わなければならないわけではない。