今回のテーマは、「敷地利用権」である。
それではさっそく、「管理業務主任者試験」で出題された過去問にチャレンジしてみよう。
令和4年度 管理業務主任者試験問題【問35】
【問 35】 借地上のマンションに関する次の記述のうち、民法及び区分所有法によれば、最も適切なものはどれか。
1 土地所有者と各区分所有者との間で締結された借地契約相互の関係は、一つの借地契約を準共有する関係にある。
2 区分所有者の一人に借地料の不払いが生じた場合には、土地所有者は、当該区分所有者の借地料を他の区分所有者に請求することができる。
3 区分所有者の一人が借地契約を解除された場合には、当該区分所有者は、敷地利用権を有しない区分所有者となる。
4 敷地利用権を有しない区分所有者は、土地所有者に対して当該区分所有権を時価で買い取るように請求することができる。
令和4年度 管理業務主任者試験問題 令和4年(2022年)12月4日
正解:3
それでは、問題を検討していこう。なお、法令等は、令和4年4月1日現在で施行されているものによるものとする。
1 誤り。
土地所有者と各区分所有者との間で締結された借地契約相互の関係は、各区分所有者ごとに締結された複数の借地契約に基づく借地権を準共有する関係にある。
2 誤り。
区分所有者の地上権の対価である地代支払債務について、自己の有する地上権の持分割合に対応する地代を支払えば足りる。(東京地裁平成7.6.7)
(参考)一般財団法人不動産適正取引推進機構のアーカイブ資料(pdf)
したがって、区分所有者の1人に借地料の不払いが生じた場合でも、土地所有者は、当該区分所有者の借地料を他の区分所有者に請求することができない。
3 正しい。
区分所有者の1人が借地契約を解除された場合には、当該区分所有者は、敷地利用権を有しない区分所有者となる。
4 誤り。
敷地利用権を有しない区分所有者があるときは、その専有部分の収去を請求する権利を有する者(土地所有者等)は、その区分所有者に対し、区分所有権を時価で売り渡すべきことを請求することができる。(区分所有法10条)
したがって、敷地利用権を有しない区分所有者が、土地所有者に対して当該区分所有権を時価で買い取るように請求することができるのではない。
(参考)ごうかく! 管理業務主任者 攻略問題集 2023年度(早稲田経営出版)