今回のテーマは、「抵当権の順位の放棄」である。

それでは、宅地建物取引士資格試験(宅建士試験)の過去問にチャレンジしてみよう。

令和5年度 宅地建物取引士資格試験 【問10】

【問 10】 債務者Aが所有する甲土地には、債権者Bが一番抵当権(債権額1,000 万円)、債権者Cが二番抵当権(債権額1,200 万円)、債権者Dが三番抵当権(債権額2,000 万円)をそれぞれ有しているが、BがDの利益のため、Aの承諾を得て抵当権の順位を放棄した。甲土地の競売に基づく売却代金が2,400 万円であった場合、Bの受ける配当額として、民法の規定によれば、正しいものはどれか。
1  0 円
2  200 万円
3  400 万円
4  800 万円

令和5年度 宅地建物取引士資格試験 令和5年10月15日

正解:3

BがDに対して抵当権の順位を放棄していた場合、Bの優先弁済権をDとの関係でのみ主張しない結果、甲土地からBが配当を受けるはずだった1,000万円とDが配当を受けるはずだった200万円の合計額1,200万円が、BとDの債権額に応じて按分される。

売却代金:2,400 万円
(抵当権の順位の放棄がない場合)原則的配当額
B 1,000万円
D  200万円

(BがDに抵当権の順位の放棄)→債権額の割合で配当
B=1,200万円×$\frac{1,000万円}{1,000万円+2,000万円}$=400万円
D=1,200万円×$\frac{2,000万円}{1,000万円+2,000万円}$=800万円

なお、Bの抵当権の順位の放棄はCには何ら影響を与えない。