今回のテーマは、「集会(議決権行使)」である。
それではさっそく、「マンション管理士試験」で出題された過去問にチャレンジしてみよう。
令和4年度 マンション管理士試験 〔問7〕
〔問 7〕 甲マンション101 号室の所有者Aが死亡し、Aの相続人である妻Bと子Cは、遺産分割協議中である。この場合に関する次の記述のうち、区分所有法及び民法の規定並びに判例によれば、誤っているものはどれか。
1 BとCが集会において議決権を行使すべき者一人を定めていないときは、集会を開催するに当たって,集会の招集者は、BとCのいずれか一方に集会の招集通知をすれば足りる。
2 Cが未成年の高校生であったとしても、BとCが合意をすれば、Cを議決権を行使すべき者と定めることができる。
3 BとCが、Bを議決権行使者と定める旨の合意をし、管理組合に議決権行使者をBとする旨の通知をしていな場合であっても、Bは議決権行使者の指定を受けたことを証明することにより、議決権を行使することができる。
4 Cは甲マンション101 号室に居住しておらず、Bが同号室に居住している場合で、BとCが、Cを議決権行使者と定める合意をし、Cの住所を記載して書面で通知した場合であっても、規約に特別の定めがあるときは、集会の招集の通知は、建物内の見やすい場所に掲示してすることができる。
令和4年度 マンション管理士試験
それでは、各肢を検討していこう。
なお、問題は、令和4年4月1日現在施行されている法令等により出題されているが、正解及び解説は令和5年4月1日現在施行されている法令等に基づいて執筆する。
また、「建物の区分所有等に関する法律」(昭和三十七年法律第六十九号)については、「区分所有法」と称する。
1 正しい。
甲マンション101 号室は、相続財産であり、遺産分割確定までは、相続人が数人あるときは、その共有に属する。(民法898条)なお、専有部分が数人の共有に属するときは、共有者は、議決権を行使すべき者一人を定めなければならない。(区分所有法40条)
そして、その通知は、議決権を行使すべき者となった者に対してなされる。(区分所有法35条2項)
しかし、議決権を行使すべき者となった者が定められていないときには、いずれか一方に対して通知をすれば足りる。(同かっこ書き)
2 正しい。
甲マンション101 号室が共有に属する場合、議決権を行使すべき者の指定は、共有物に関する事項として、各共有者の持分の価格に従い、その過半数で決する。(民法252条)
そして、議決権を行使すべき者の資格について、区分所有法上の制限はない。
3 正しい。
共有者間で、議決権を行使すべき者の指定がなされていれば、その旨の通知を管理組合にしていない場合でも、その者が、議決権行使者の指定を受けたことを証明することにより、議決権を行使することができる。
4 誤り。
集会の招集通知は、区分所有者が管理者に対して通知を受けるべき場所を通知したときはその場所に充てて行う。(区分所有法35条3項前段)
なお、通知しなかつたときは区分所有者の所有する専有部分が所在する場所にあててすれば足りる。(同後段)
そして、建物内に住所を有する区分所有者又は通知を受けるべき場所を通知しない区分所有者に対する通知は、規約に特別の定めがあるときは、この通知を建物内の見やすい場所に掲示してすることができる。(同4項)
本肢の場合、Cの住所を記載して書面で通知しており、集会の招集の通知は、建物内の見やすい場所に掲示してすることはできない。