今回のテーマは、「標準管理規約(IT活用)」である。

それではさっそく、「マンション管理士試験」で出題された過去問にチャレンジしてみよう。

令和4年度 マンション管理士試験 〔問30〕

〔問 30〕 IT を活用した管理組合の運営や手続きに関する次の記述のうち、標準管理規約によれば、適切なものはどれか。

1 組合員が総会において議決権を行使する場合、書面による議決権の行使に代えて、電磁的方法によって行使することは認められていない。
2 電磁的記録で作成された議事録の閲覧請求があったときは、当該電磁的記録に記録された情報の内容を紙面又は出力装置の映像面に表示する方法により表示したものを請求者の自宅において閲覧させることとなる。
3 あらかじめ管理規約でWEB 会議システム等を用いて総会が開催できる旨定めている場合に限り、当該方法により総会を開催することができる。
4 住戸が売買されて組合員の変動が生じた場合の組合員の資格の得喪の届出は、電磁的方法により行うことができる。

令和4年度 マンション管理士試験

正解:4

それでは、各肢を検討していこう。
なお、問題は、令和4年4月1日現在施行されている法令等により出題されているが、正解及び解説は令和5年4月1日現在施行されている法令等に基づいて執筆する。

1 誤り。

組合員は、書面による議決権の行使に代えて、電磁的方法によって議決権を行使することができる
(標準管理規約46条7項)

したがって、電磁的方法によって行使することは認められている。

2 誤り。

電磁的方法が利用可能な場合は、

理事長は、議事録を保管し、組合員又は利害関係人の書面又は電磁的方法による請求があったときは、議事録の閲覧(議事録が電磁的記録で作成されているときは、当該電磁的記録に記録された情報の内容を紙面又は出力装置の映像面に表示する方法により表示したものの当該議事録の保管場所における閲覧をいう。)をさせなければならない。
(標準管理規約49条5項)

したがって、請求者の自宅において閲覧させることとはならない。

3 誤り。

総会の会議(WEB会議システム等を用いて開催する会議を含む。)は、議決権総数の半数以上を有する組合員が出席しなければならない。(標準管理規約47条1項)

したがって、あらかじめ管理規約でWEB 会議システム等を用いて総会が開催できる旨定めている場合に限らず、当該方法により総会を開催することができる。

4 正しい。

電磁的方法が利用可能な場合、

新たに組合員の資格を取得し又は喪失した者は、直ちにその旨を書面又は電磁的方法により管理組合に届け出なければならない。(標準管理規約31条)