今回のテーマは、「標準管理規約(議決権行使等)」である。
それではさっそく、「マンション管理士試験」で出題された過去問にチャレンジしてみよう。
令和4年度 マンション管理士試験 〔問29〕
〔問 29〕 甲マンション103 号室については、当該住戸に居住しているAと、外部に居住しているBの共有となっている。また、総会に先立ち、あらかじめBを議決権行使者とする理事長への届出がなされている。この場合において、総会運営における103 号室の取扱いに関する次の記述のうち、標準管理規約によれば、適切でない
ものはどれか。
1 Bが通知先としてその住所を管理組合に届け出ていない場合には、総会の招集の通知は103 号室あてに発することで、招集手続として有効である。
2 A及びBがともに総会を欠席したが、Aが議決権行使書を提出していた場合には、定足数の確認においては、103 号室の組合員を「出席」と扱ってよい。
3 Aが総会に出席し、Bが議決権行使書を提出していた場合には、Aの総会の場での賛否の意思表示にかかわらず、Bが提出した議決権行使書の内容を、103 号室の賛否とする。
4 甲マンションの他の組合員Cを代理人として議決権を行使しようとする場合には、Bを委任者、Cを受任者とする委任状を作成し、理事長に提出する必要がある。
令和4年度 マンション管理士試験
それでは、各肢を検討していこう。
なお、問題は、令和4年4月1日現在施行されている法令等により出題されているが、正解及び解説は令和5年4月1日現在施行されている法令等に基づいて執筆する。
1 正しい。
総会の招集通知は、管理組合に対し組合員が届出をしたあて先に発するものとする。ただし、その届出のない組合員に対しては、対象物件内の専有部分の所在地あてに発するものとする。(標準管理規約43条2項)
2 誤り。
住戸1戸が数人の共有に属する場合、その議決権行使については、これら共有者をあわせて一の組合員とみなす。
(標準管理規約46条2項)
一の組合員とみなされる者は、議決権を行使する者1名を選任し、その者の氏名をあらかじめ総会開会までに理事長に届け出なければならない。(同3項)
また、組合員は、書面又は代理人によって議決権を行使することができる。(同4項)
そして、書面、電磁的方法又は代理人によって議決権を行使する者は、出席組合員とみなす。(同47条6項)
本肢の場合、議決権行使者として届出がされているBは、総会を欠席している。そして、議決権行使者として届出がされていないAが議決権行使書を提出しても、当該議決権行使書は無効である。
したがって、定足数の確認においては、103 号室の組合員は「欠席」と扱われる。
3 正しい。
本肢の場合、議決権行使者として届出がされているBが議決権行使書を提出しており、当該議決権行使書は有効である。(2肢の解説参照)
したがって、Bが提出した議決権行使書の内容を、103 号室の賛否とする。
4 正しい。
組合員が代理人により議決権を行使しようとする場合において、その代理人は、①その組合員の配偶者(婚姻の届出をしていないが事実上婚姻関係と同様の事情にある者を含む。)又は一親等の親族、②その組合員の住戸に同居する親族、③他の組合員でなければならない。(標準管理規約46条5項)
そして、組合員又は代理人は、代理権を証する書面を理事長に提出しなければならない。(電磁的方法が利用可能な場合は、書面の提出に代えて、電磁的方法によって提出することができる。)(同6項)