今回のテーマは、「不動産登記法(区分所有建物)及び区分所有法」である。
それではさっそく、「マンション管理士試験」で出題された過去問にチャレンジしてみよう。
令和4年度 マンション管理士試験 〔問2〕
〔問 2〕 区分所有建物の敷地に関する次の記述のうち、区分所有法及び不動産登記法(平成16 年法律第123 号)の規定によれば、正しいものはいくつあるか。
ア 借地上の区分所有建物における敷地利用権の場合には、専有部分と敷地利用権の分離処分禁止の原則は適用されない。
イ 敷地を専有部分の底地ごとに区画して別の筆とし、それぞれの区分所有者が当該区画について単独で所有権を有しているタウンハウス形式の区分所有建物の場合には、専有部分の登記簿の表題部に敷地権は表示されない。
ウ 土地の共有者全員で、その全員が区分所有する建物を建てた場合には、規約に別段の定めがない限り、敷地の共有持分は各区分所有者の専有面積の割合となる。
エ 区分所有法の敷地には、区分所有者が建物及び建物が所在する土地と一体として管理又は使用をする庭、通路その他の土地で規約に定めたものも含む。
1 一つ
2 二つ
3 三つ
4 四つ
令和4年度 マンション管理士試験
それでは、各肢を検討していこう。なお、問題は、令和4年4月1日現在施行されている法令等により出題されているが、正解及び解説は令和5年4月1日現在施行されている法令等に基づいて執筆する。
ア 誤り。
「敷地利用権」とは、専有部分を所有するための建物の敷地に関する権利をいう。(区分所有法2条6項)
そして、敷地利用権が数人で有する所有権その他の権利である場合には、区分所有者は、規約に別段の定めがない限り、その有する専有部分とその専有部分に係る敷地利用権とを分離して処分することができない。(同22条1項)
「その他の権利」には、借地権が含まれる。
したがって、借地上の区分所有建物における敷地利用権の場合にも、専有部分と敷地利用権の分離処分禁止の原則は適用される。
イ 正しい。
敷地権は、敷地利用権であって、区分所有法の規定により区分所有者の有する専有部分と分離して処分することができないものをいう。(不動産登記法44条1項9号)
敷地を専有部分の底地ごとに区画して別の筆とし、それぞれの区分所有者が当該区画について単独で所有権を有しているタウンハウス形式の区分所有建物の場合、敷地利用権を「数人で有する」とは言えない(区分所有法22条1項本文)ので、専有部分と敷地利用権である所有権との分離処分は禁止されない。
したがって、不動産登記法の敷地権には該当しないので、専有部分の登記簿の表題部に敷地権は表示されない。
ウ 誤り。
土地の共有者全員で、その全員が区分所有する建物を建てた場合には、各区分所有者が有する専有部分の敷地利用権は、各区分所有者が敷地となった土地に対して有する共有持分となる。
したがって、敷地の共有持分は、区分所有建物を建てる前の土地に対する共有持分と同じになる。
エ 正しい。
区分所有者が建物及び建物が所在する土地と一体として管理又は使用をする庭、通路その他の土地は、規約により建物の敷地とすることができる。(区分所有法5条1項)