本稿では、「建物の区分所有等に関する法律」を「区分所有法」と称する。

今回のテーマは、「不動産登記法」である。

それでは、「マンション管理士試験」で出題された過去問にチャレンジしてみよう。

令和4年度 マンション管理士試験 〔問18〕

〔問 18〕 区分建物の敷地権の登記に関する次の記述のうち、区分所有法及び不動産登記法の規定によれば、正しいものはどれか。

1 地上権の敷地権が登記された土地については、当該土地の所有権を対象とする抵当権を設定してその登記を申請することはできない。
2 敷地権の登記された土地の一部が分筆により区分建物が所在しない土地となった場合、当該土地については、敷地権の一部抹消のため区分建物の表題部の変更登記を申請しなければならない。
3 敷地権付き区分建物について相続を原因とする所有権の移転の登記をする場合、同時に、敷地権の移転の登記をしなければならない。
4 規約により建物の敷地とされた所有権の敷地権が登記された土地につき、当該規約が廃止されて、敷地権の一部抹消のため区分建物の表題部の変更登記が申請された場合、登記官は、当該土地の登記記録に敷地権であった権利、その権利の登記名義人の氏名又は名称及び住所並びに登記名義人が二人以上である
ときは当該権利の登記名義人ごとの持分を記録しなければならない。

令和4年度 マンション管理士試験

正解:4

それでは、各肢を検討していこう。
なお、問題は、令和4年4月1日現在施行されている法令等により出題されているが、正解及び解説は令和5年10月1日現在施行されている法令等に基づいて執筆する。

1 誤り。

敷地権である旨の登記をした土地には、敷地権の移転の登記又は敷地権を目的とする担保一般の先取特権、質権又は抵当権をいう)に係る権利に関する登記をすることができない。(不動産登記法73条2項本文、1項柱書)

本肢の敷地権は「地上権」であるので、当該土地の「所有権」を対象とする抵当権を設定してその登記を申請することはできる。

2 誤り。

建物が所在する土地が建物の一部の滅失により建物が所在する土地以外の土地となつたときは、その土地は、規約で建物の敷地と定められたものとみなす。(区分所有法5条2項)

したがって、当該土地については、敷地権の一部抹消のため区分建物の表題部の変更登記を申請する必要はない。

3 誤り。

 敷地権付き区分建物についての所有権又は担保権(一般の先取特権、質権又は抵当権をいう。)に係る権利に関する登記は、敷地権である旨の登記をした土地の敷地権についてされた登記としての効力を有する。(不動産登記法73条1項)

したがって、敷地権付き区分建物について相続を原因とする所有権の移転の登記をする場合、同時に、敷地権の移転の登記をする必要はない

4 正しい。

規約により建物の敷地とされた所有権の敷地権が登記された土地につき、当該規約が廃止されて、敷地権の一部抹消のため区分建物の表題部の変更登記が申請された場合、登記官は、当該土地の登記記録に敷地権であった権利その権利の登記名義人の氏名又は名称及び住所並びに登記名義人が二人以上であるときは当該権利の登記名義人ごとの持分記録しなければならない。(不動産登記規則124条1項、2項)