本稿では、「建物の区分所有等に関する法律」を「区分所有法」と称する。

今回のテーマは、「団地」である。

それでは、「マンション管理士試験」で出題された過去問にチャレンジしてみよう。

令和4年度 マンション管理士試験 〔問11〕

〔問 11〕 一団地内にA棟及びB棟(いずれも専有部分のある建物)があり、団地の敷地はA棟及びB棟の各区分所有者の共有である場合に関する次の記述のうち、区分所有法の規定によれば、誤っているものはどれか。

1 A棟の区分所有者は、A棟の集会の決議があれば、A棟の管理のための規約を定めることができる。
2 団地内の区分所有建物に係る管理事項について、一部のみを団地管理組合で行い、その余を各棟の管理組合で行うものと定めることができる。
3 団地管理組合において、A棟及びB棟の管理又は使用について団地管理規約(区分所有法第66 条において準用する同法第30 条第1項の規約をいう。以下、この問いにおいて同じ。)が定められている場合であっても、A棟の区分所有者の集会で、A棟の管理組合における管理者を定めることができる。
4 団地管理規約に団地共用部分の定めを設けることにより、団地管理組合の管理者を団地共用部分の所有者と定めることができる。

令和4年度 マンション管理士試験

正解:4

それでは、各肢を検討していこう。
なお、問題は、令和4年4月1日現在施行されている法令等により出題されているが、正解及び解説は令和5年10月1日現在施行されている法令等に基づいて執筆する。

1 正しい。

設問の場合、A棟及びB棟の区分所有者による団地管理組合が成立する。(区分所有法65条)
この場合でも、各棟の管理組合は存続するので、各棟の管理組合は、団地関係に準用されていない事項に関する規約を定めることができる。

2 正しい。

団地内の区分所有建物に係る管理事項について、一部のみを団地管理組合で行い、その余を各棟の管理組合で行うものと定めることができる。

3 正しい。

肢1で述べたように、団地管理組合が成立し、団地管理規約が定められている場合でも、各棟の管理組合は存続する。

したがって、A棟の区分所有者の集会で、A棟の管理組合における管理者を定めることができる。

4 誤り。

一団地内の附属施設たる建物(専有部分を含む)は、団地管理規約により、団地共用部分とすることができる。(区分所有法67条1項)
この場合でも、管理所有について規定する区分所有法27条は、団地の管理者に準用されない

したがって、団地管理組合の管理者を団地共用部分の所有者と定めることはできない。