本稿では、「被災区分所有建物の再建等に関する特別措置法」を「被災マンション法」と、「建物の区分所有等に関する法律」を「区分所有法」と称する。

今回のテーマは、「被災マンション法」である。

それでは、「マンション管理士試験」で出題された過去問にチャレンジしてみよう。

令和4年度 マンション管理士試験 〔問10〕

〔問 10〕 大規模な火災、震災その他の災害で政令で定めるもの(この問いにおいて「政令指定災害」という。)により、その全部又は一部が滅失(区分所有法第61 条第1項本文に規定する場合(小規模滅失)を除く。)した場合の被災マンション法第3条の規定による敷地共有者等集会(この問いにおいて「敷地共有者等集会」と
いう。)に関する次の記述のうち、被災マンション法及び民法の規定によれば、正しいものはどれか。

1 敷地共有者等集会の構成員は、政令指定災害によって全部又は一部が滅失した建物の区分所有者及び区分所有者以外の敷地の共有者である。
2 政令指定災害により、区分所有建物の一部が滅失した後、区分所有者全員の同意によって区分所有建物の全部を取り壊したときにも、政令の施行の日から起算して3年が経過する日までの間は、敷地共有者等集会を開くことが認められる。
3 敷地共有者等集会においては、滅失した区分所有建物に係る建物の敷地若しくはその一部の土地又は当該建物の敷地の全部若しくは一部を含む土地の管理に係る規約を定めることができる。
4 敷地共有者等が所在不明となっている場合に、敷地共有者等集会の招集の通知をするためには、民法第98 条に定める公示送達による方法(裁判所の掲示場に掲示し、かつ、その掲示があったことを官報に掲載する方法)によらなければならない。

令和4年度 マンション管理士試験

正解:2

それでは、各肢を検討していこう。
なお、問題は、令和4年4月1日現在施行されている法令等により出題されているが、正解及び解説は令和5年10月1日現在施行されている法令等に基づいて執筆する。

1 誤り。

大規模な火災、震災その他の災害で政令で定めるものによりる区分所有建物全部が滅失した場合(その災害により区分所有建物の大規模一部滅失した場合において、当該区分所有建物が取壊し決議(被災マンション法11条)又は区分所有者全員の同意に基づき取り壊されたときを含む。)において、その建物に係る敷地利用権が数人で有する所有権その他の権利であったときは、敷地共有持分等を有する者(敷地共有者等)は、政令施行日から起算して3年が経過する日までの間は、集会を開き、及び管理者を置くことができる。(被災マンション法2条)

したがって、一部が滅失した建物の区分所有者及び区分所有者以外の敷地の共有者は、構成員とはならない

2 正しい。

大規模な火災、震災その他の災害で政令で定めるものにより区分所有建物の全部が滅失した場合(その災害により区分所有建物の大規模一部滅失した場合において、当該区分所有建物が取壊し決議(被災マンション法11条)又は区分所有者全員の同意に基づき取り壊されたとき含む。)において、その建物に係る敷地利用権が数人で有する所有権その他の権利であったときは、敷地共有持分等を有する者(敷地共有者等)は、政令施行日から起算して3年が経過する日までの間は、集会を開き、及び管理者を置くことができる。(被災マンション法2条)

3 誤り。

敷地共有者等は、集会を開き、及び管理者を置くことができる。(被災マンション法2条)

したがって、規約を定めることはできない。

4 誤り。

敷地共有者等集会を招集する者が敷地共有者等の所在を知ることができないときは、集会の招集通知は、滅失した区分所有建物に係る建物の敷地内の見やすい場所に掲示してすることができる。(被災マンション法3条2項)