今回のテーマは、「標準管理委託契約書(管理事務の範囲等)」である。
それではさっそく、「管理業務主任者試験」で出題された過去問にチャレンジしてみよう。
令和4年度 管理業務主任者試験問題【問7】
【問 7 】 標準管理委託契約書に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
1 標準管理委託契約書は、管理組合が管理事務をマンション管理業者に委託する場合を想定しており、警備業法に定める警備業務、消防法に定める防火管理者が行う業務は、管理事務に含まれない。
2 マンション管理業者の管理対象部分は敷地及び共用部分等であるが、専有部分の設備であっても、管理組合が管理を行うとされている場合において、管理組合から依頼があるときには、契約内容にこれを含めることも可能である。
3 管理事務室は、管理組合がマンション管理業者に管理事務を行わせるため、有償で使用させるものとしている。
4 組合員が滞納した管理費等の督促については、弁護士法第72条の規定を踏まえ、債権回収はあくまで管理組合が行うものであることに留意し、マンション管理業者の協力について、事前に協議が整っている場合は、協力内容、費用の負担等に関し、具体的に規定するものとする。
令和4年度 管理業務主任者試験問題 令和4年(2022年)12月4日
正解:3
それでは、各肢を検討していこう。なお、法令等は、令和4年4月1日現在で施行されているものによるものとする。
1 正しい。
標準管理委託契約書では、適正化法第2条第6号に定める管理事務をマンション管理業者に委託する場合を想定しており、警備業法に定める警備業務、消防法に定める防火管理者が行う業務は、管理事務に含まれない。(標準管理委託契約書全般関係コメント③)
2 正しい。
基本的にマンション管理業者の管理対象部分は敷地及び共用部分等であるが、専有部分である設備のうち共用部分と構造上一体となった部分(配管、配線等)は共用部分と一体で管理を行う必要があるため、管理組合が管理を行うとされている場合において、管理組合から依頼があるときに管理委託契約に含めることも可能である。(標準管理委託契約書3条関係コメント③)
3 誤り。
管理組合は、マンション管理業者に管理事務を行わせるために不可欠な管理事務室、管理用倉庫、清掃員控室、器具、備品等)を無償で使用させるものとする。
(標準管理委託契約書7条1項)
4 正しい。
管理組合の組合員が滞納した管理費等の督促については、弁護士法第72条の規定を踏まえ、債権回収はあくまで管理組合が行うものであることに留意し、第2項のマンション管理業者の協力について、事前に協議が整っている場合は、協力内容(甲の名義による配達証明付内容証明郵便による督促等)、費用の負担等に関し、具体的に規定するものとする。
(標準管理委託契約書10条関係コメント)
(参考)ごうかく! 管理業務主任者 攻略問題集 2023年度(早稲田経営出版)