本稿では、「マンションの建替え等の円滑化に関する法律」を「建替え等円滑化法」と称する。

今回のテーマは、「建替え等円滑化法」である。

それではさっそく、「令和4年度 管理業務主任者試験」で出題された過去問にチャレンジしてみよう。

令和4年度 管理業務主任者試験問題 【問 41】

【問 41】 次の記述のうち、マンションの建替え等の円滑化に関する法律によれば、最も不適切なものはどれか。ただし、本問において「マンション」とは、同法第2条第1 項第1 号に規定するものとする。

1  非法人の管理組合において、マンションの管理者又は区分所有者集会で指定された区分所有者は、特定行政庁に対し、当該マンションを除却する必要がある旨の認定を申請することができる。
2  特定行政庁が行う除却の必要性に係る認定は、外壁等が剥はく離り し、落下することにより周辺に危害を生ずるおそれに対する安全性に係る基準に該当するのみでは行われない。
3  特定要除却認定を受けた場合において、特定要除却認定マンションに係る敷地利用権が数人で有する所有権又は借地権であるときは、区分所有者集会において、区分所有者、議決権及び当該敷地利用権の持分の価格の各5 分の4 以上の多数で、当該特定要除却認定マンション及びその敷地(当該敷地利用権が借地権であるときは、その借地権)を売却する旨の決議をすることができる。
4  その敷地面積が政令で定める規模以上であるマンションのうち、要除却認定マンションに係るマンションの建替えにより新たに建築されるマンションで、特定行政庁が交通上、安全上、防火上及び衛生上支障がなく、かつ、その建ぺい率、容積率及び各部分の高さについて総合的な配慮がなされていることにより市街地の環境の整備改善に資すると認めて許可したものの容積率には、特例が認められる。

令和4年度 管理業務主任者試験問題

正解:2

それでは、各肢を検討していこう。
なお、問題は、2022年4月1日現在施行されている法令等により出題されているが、正解及び解説は2023年10月1日現在施行されている法令等に基づいて執筆する。

1 正しい。

マンションの管理者等(管理者がないときは、区分所有者集会において指定された区分所有者又は理事)は、特定行政庁に対し、当該マンションを除却する必要がある旨の認定申請することができる。(建替え等円滑化法102条1項)

2 誤り。

特定行政庁は、除却する必要がある旨の認定の申請に係るマンションが外壁外装材その他これらに類する建物の部分剥離し、落下することにより周辺に危害を生ずるおそれがあるものとして国土交通大臣が定める基準に該当すると認められるときは、その旨の認定をするものとする。(建替え等円滑化法102条2項3号)

3 正しい。

特定要除却認定を受けた場合において、特定要除却認定マンションに係る敷地利用権が数人で有する所有権又は借地権であるときは、区分所有者集会において、区分所有者議決権及び当該敷地利用権持分の価格の各5分の4以上の多数で、当該特定要除却認定マンション及びその敷地(当該敷地利用権が借地権であるときは、その借地権)を売却する旨の決議をすることができる。(建替え等円滑化法108条1項)

4 正しい。

その敷地面積が政令で定める規模以上であるマンションのうち、要除却認定マンションに係るマンションの建替えにより新たに建築されるマンションで、特定行政庁が交通上、安全上、防火上及び衛生上支障がなく、かつ、その建ぺい率(建築面積の敷地面積に対する割合をいう。)、容積率(延べ面積の敷地面積に対する割合をいう。)及び各部分の高さについて総合的な配慮がなされていることにより市街地の環境の整備改善に資すると認めて許可したものの容積率は、その許可の範囲内において、建築基準法による所定の限度を超えるものとすることができる。(建替え等円滑化法105条)