今回のテーマは、「品確法(瑕疵担保責任)」である。
それではさっそく、「管理業務主任者試験(令和4年度)」で出題された過去問にチャレンジしてみよう。
令和4年度 管理業務主任者試験問題【問40】
【問 40】 新築の分譲マンションの売買契約における売主の担保責任に関する次の記述のうち、住宅の品質確保の促進等に関する法律(以下、本問において「品確法」という。)によれば、最も不適切なものはどれか。ただし、当該マンションは、品確法上の新築住宅に該当するものとする。
1 当該マンションの構造耐力上主要な部分等の瑕か疵し については、売主とは別の建築請負会社が建築したものである場合、当該売主が瑕疵担保責任を負う期間は、当該売主がその建築請負会社から引渡しを受けた時から10年間とされる。
2 買主が購入後1 年以内に当該マンションを第三者に転売した場合に、その第三者(転得者)は、当初の買主(転売者)が引渡しを受けた時から10年以内であれば、元の売主に対して直接に瑕疵担保責任を当然に追及することができる。
3 当該マンションの買主は、売主に対し、瑕疵の修補請求はできるが、損害賠償請求はできない旨の特約は、買主がそれを容認したとしても無効である。
4 当該マンションが建設工事の完了の日から起算して1 年を経過して初めて分譲された場合には、品確法上の担保責任は問えない。
令和4年度 管理業務主任者試験問題 令和4年(2022年)12月4日
それでは、各肢を検討していこう。
なお、問題は、2022年4月1日現在施行されている法令等により出題されているが、正解及び解説は2023年4月1日現在施行されている法令等に基づいて執筆する。
「住宅の品質確保の促進等に関する法律」については、本問において「品確法」という。
1 正しい。
新築住宅の売買契約においては、売主は、買主に引き渡した時(当該新築住宅が住宅新築請負契約に基づき請負人から当該売主に引き渡されたものである場合にあっては、その引渡しの時)から10年間、住宅の構造耐力上主要な部分等の瑕疵について、担保の責任を負う。(品確法95条1項)
2 誤り。
売主の瑕疵担保責任では、買主は、自己に対する売主に対して責任を追及できる。
したがって、第三者(転得者)は、買主(転売者)に対しては、瑕疵担保責任を追及することができるが、元の売主に対しては、瑕疵担保責任を追及することができない。
3 正しい。
売主の瑕疵担保責任では、買主は、売主に対し、①追完請求(民法562条)、②代金減額請求(民法563条)、③損害賠償(民法415条)、④契約の解除(民法541条、542条)が認められる。(品確法95条1項)
そして、これらの規定に反する特約で買主に不利なものは、無効とする。(同2項)
したがって、本肢の場合、無効となる。
4 正しい。
品確法において「新築住宅」とは、新たに建設された住宅で、まだ人の居住の用に供したことのないもの(建設工事の完了の日から起算して1年を経過したものを除く。)をいう。(品確法2条2項)
したがって、本肢の場合、品確法上の担保責任は問えない。