今回のテーマは、「標準管理規約(専有部分に係る配管の取替え)」である。
それではさっそく、「管理業務主任者試験(令和4年度)」で出題された過去問にチャレンジしてみよう。
令和4年度 管理業務主任者試験問題【問33】
【問 33】 専有部分にある設備の管理に関し、理事長から次のア~エの順で説明があった。標準管理規約(単棟型)によれば、不適切なものはいくつあるか。
ア そもそも、専有部分に係る配管の取替えに要する費用については、各区分所有者が実費に応じて負担するのが原則です。
イ ただし、専有部分に係る配管のうち共用部分と構造上一体となった部分の管理を共用部分の管理と一体として行う必要があるときは、専有部分に係る配管を含めて管理組合が管理を行うことができます。
ウ その場合には、あらかじめ長期修繕計画において専有部分の配管の取替えについても記載することで、共用部分と一体的な専有部分の配管の取替工事も行うことができます。
エ そして、その工事費用を修繕積立金から拠出することについて規約に規定することで、修繕積立金を取り崩して専有部分の工事費用に充てることができます。
1 一つ
2 二つ
3 三つ
4 なし
令和4年度 管理業務主任者試験問題 令和4年(2022年)12月4日
それでは、各肢を検討していこう。
なお、問題は、2022年4月1日現在施行されている法令等により出題されているが、正解及び解説は2023年4月1日現在施行されている法令等に基づいて執筆する。
なお、本テーマはこれまでにも取り上げている。↓
マンション管理士の過去問を解こう(令和4年度)「標準管理規約(配管設備の工事等)」
ア 正しい。
配管の取替え等に要する費用のうち専有部分に係るものについては、各区分所有者が実費に応じて負担すべきものである。(標準管理規約21条関係コメント⑦)
イ 正しい。
専有部分である設備のうち共用部分と構造上一体となった部分の管理を共用部分の管理と一体として行う必要があるときは、管理組合がこれを行うことができる。(標準管理規約21条2項)
ウ 正しい。
共用部分の配管の取替えと専有部分の配管の取替えを同時に行うことにより、専有部分の配管の取替えを単独で行うよりも費用が軽減される場合には、これらについて一体的に工事を行うことも考えられる。その場合には、あらかじめ長期修繕計画において専有部分の配管の取替えについて記載し、その工事費用を修繕積立金から拠出することについて規約に規定するとともに、先行して工事を行った区分所有者への補償の有無等についても十分留意することが必要である。(標準管理規約21条関係コメント⑦)
エ 正しい。
専有部分に係る配管の取替えに要する工事費用を修繕積立金から拠出することについて規約に規定することで、修繕積立金を取り崩して専有部分の工事費用に充てることができる。(標準管理規約21条関係コメント⑦参照)
したがって、不適切なものはない。