今回のテーマは、「規約の定め」である。

それではさっそく、「管理業務主任者試験」で出題された過去問にチャレンジしてみよう。

令和4年度 管理業務主任者試験問題【問29】

【問 29】 マンションの管理規約の定めに関する次の記述のうち、区分所有法によれば、不適切なものはいくつあるか。

ア 管理組合法人の理事の任期を1 年と定めること

イ 共用部分の管理に関する事項を議事とする総会が成立する定足数を組合員総数の3 分の2 以上と定めること

ウ 共用部分の変更(その形状又は効用の著しい変更を伴わないものを除く。)は、組合員総数の過半数及び議決権総数の4 分の3 以上の多数による集会の決議で決すると定めること

エ マンションの価格の2 分の1 以下に相当する部分が滅失した場合の共用部分の復旧は、組合員総数及び議決権総数の各過半数の賛成による集会の決議で決すると定めること

1  一つ

2  二つ

3  三つ

4  なし

令和4年度 管理業務主任者試験問題 令和4年(2022年)12月4日

正解:4

それでは、問題を検討していこう。なお、法令等は、令和4年4月1日現在で施行されているものによるものとする。

ア 正しい。

理事の任期は、2年とする。ただし、規約で3年以内において別段の期間を定めたときは、その期間とする。(区分所有法49条6項)

したがって、規約で理事の任期を1 年と定めることができる。

イ 正しい。

建物又はその敷地若しくは附属施設の管理又は使用に関する区分所有者相互間の事項は、この法律に定めるもののほか、規約で定めることができる。(区分所有法30条1項)

区分所有法では、集会の定足数についての規定は存在しないが、規約で、総会が成立する定足数を組合員総数の3 分の2 以上と定めることができる。

(参考資料)

(総会の会議及び議事)
第47条 総会の会議は、前条第1項に定める議決権総数の半数以上を有す
る組合員が出席しなければならない。
2 総会の議事は、出席組合員の議決権の過半数で決する。
3 次の各号に掲げる事項に関する総会の議事は、前項にかかわらず、組合
員総数の4分の3以上及び議決権総数の4分の3以上で決する。

一 規約の制定、変更又は廃止
二 敷地及び共用部分等の変更(その形状又は効用の著しい変更を伴わな
いもの及び建築物の耐震改修の促進に関する法律第25条第2項に基づ
く認定を受けた建物の耐震改修を除く。)
三 区分所有法第58条第1項、第59条第1項又は第60条第1項の訴
えの提起
四 建物の価格の2分の1を超える部分が滅失した場合の滅失した共用部
分の復旧

五 その他総会において本項の方法により決議することとした事項
4 略

標準管理規約(単棟型)

ウ 正しい。

共用部分の変更(その形状又は効用の著しい変更を伴わないものを除く。)は、区分所有者及び議決権の各4分の3以上の多数による集会の決議で決する。ただし、この区分所有者の定数規約でその過半数まで減ずることができる。(区分所有法17条1項)

エ 正しい。

建物の価格の2分の1以下に相当する部分が滅失したときは、各区分所有者は、原則として、滅失した共用部分及び自己の専有部分を復旧することができる(区分所有法61条1項)が、規約で別段の定めをすることを妨げない。(区分所有法61条4項)

したがって、共用部分の復旧は、組合員総数及び議決権総数の各過半数の賛成による集会の決議で決すると定めることができる。

参考)ごうかく! 管理業務主任者 攻略問題集 2023年度(早稲田経営出版)