今回のテーマは、「少額訴訟」である。

それではさっそく、「管理業務主任者試験」で出題された過去問にチャレンジしてみよう。

令和4年度 管理業務主任者試験問題【問10】

【問 10】 管理組合Aが、区分所有者Bに対して滞納管理費の支払を請求するために民事訴訟法上の「少額訴訟」を利用する場合に関する次の記述のうち、適切なものはいくつあるか。
ア A又はBが、当該少額訴訟の終局判決に対して不服があるときは、管轄の地方裁判所に控訴することができる。
イ Bは、訴訟が係属している間であれば、いつでも、当該少額訴訟を通常の訴訟続に移行させる旨の申述をすることができる。
ウ Bが滞納している管理費の総額が70万円である場合に、Aは、訴訟の目的の価額を60万円として少額訴訟を利用することができる。
エ Bは、当該少額訴訟において反訴を提起することはできない。
1  一つ
2  二つ
3  三つ
4  四つ

令和4年度 管理業務主任者試験問題 令和4年(2022年)12月4日
正解:2

それでは、各肢を検討していこう。なお、法令等は、令和4年4月1日現在で施行されているものによるものとする。

ア 誤り。

少額訴訟の終局判決に対しては、控訴をすることができない。(民事訴訟法377条)

(控訴の禁止)
第三百七十七条 少額訴訟の終局判決に対しては、控訴をすることができない。

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イ 誤り。

被告は、訴訟を通常の手続に移行させる旨の申述をすることができる。ただし、被告が最初にすべき口頭弁論の期日において弁論をし、又はその期日が終了した後は、この限りでない。(民事訴訟法373条1項)

(通常の手続への移行)
第三百七十三条 被告は、訴訟を通常の手続に移行させる旨の申述をすることができる。ただし、被告が最初にすべき口頭弁論の期日において弁論をし、又はその期日が終了した後は、この限りでない。(略)

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したがって、訴訟が係属し、被告が最初にすべき口頭弁論の期日において弁論をし、又はその期日が終了した後は、訴訟を通常の手続に移行させる旨の申述はできない

ウ 正しい。

訴訟の目的の価額が60万円以下の金銭の支払の請求を目的とする訴えについて、少額訴訟による審理及び裁判を求めることができる。(民事訴訟法368条1項)

(少額訴訟の要件等)
第三百六十八条 簡易裁判所においては、訴訟の目的の価額が六十万円以下の金銭の支払の請求を目的とする訴えについて、少額訴訟による審理及び裁判を求めることができる。(略)

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したがって、滞納している管理費の総額が70万円である場合でも、訴訟の目的の価額 を60万円として少額訴訟を利用することができる。

エ 正しい。

少額訴訟においては、反訴を提起することができない。(民事訴訟法369条)

(反訴の禁止)
第三百六十九条 少額訴訟においては、反訴を提起することができない。

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したがって、適切なものは二つである。