今回のテーマは、「民法上の相続分」である。
それでは、「ファイナンシャル・プランニング技能検定 2級 学科試験(2023年9月10日実施)」で出題された過去問にチャレンジしてみよう。
ファイナンシャル・プランニング技能検定 2級 学科試験(2023年9月10日実施)問題55
問題 55
民法上の相続分に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。なお、記載のない事項については考慮しないものとする。
1.被相続人は、遺言で、共同相続人の相続分を定めることができるが、これを定めることを第三者に委託することはできない。
2.共同相続人の1人が遺産の分割前にその相続分を共同相続人以外の第三者に譲り渡した場合、他の共同相続人は、当該第三者に対して一定期間内にその価額および費用を支払うことで、その相続分を譲り受けることができる。
3.父母の一方のみを同じくする兄弟姉妹の法定相続分は、父母の双方を同じくする兄弟姉妹の法定相続分と同じである。
4.養子の法定相続分は、実子の法定相続分の2分の1である。
ファイナンシャル・プランニング技能検定 2級 学科試験(2023年9月10日実施)
2023年9月実施の問題は、2023年4月1日現在施行されている法令等により出題されているが、本稿の正解及び解説は2023年10月1日現在施行されている法令等に基づいて執筆する。
1 誤り。
相続人は、遺言で、共同相続人の相続分を定め、又はこれを定めることを第三者に委託することができる。(民法902条1項)
2 正しい。
取戻権
共同相続人の一人が遺産の分割前にその相続分を第三者に譲り渡したときは、他の共同相続人は、その価額及び費用を償還して、その相続分を譲り受けることができる。(民法905条1項)
なお、この権利は、1か月以内に行使しなければならない。(同2項)
3 誤り。
子、直系尊属又は兄弟姉妹が数人あるときは、各自の相続分は、相等しいものとする。ただし、父母の一方のみを同じくする兄弟姉妹の相続分は、父母の双方を同じくする兄弟姉妹の相続分の2分の1とする。(民法900条4項)
4 誤り。
子、直系尊属又は兄弟姉妹が数人あるときは、各自の相続分は、相等しいものとする。(民法900条4項)
養子は、縁組の日から、養親の嫡出子の身分を取得する。(809条)
したがって、養子の法定相続分は、実子の法定相続分と同じである。