今回のテーマは、「遺言」である。

それでは、「ファイナンシャル・プランニング技能検定 2級 学科試験(2023年5月28日実施)」で出題された過去問にチャレンジしてみよう。

ファイナンシャル・プランニング技能検定 2級 学科試験(2023年5月28日実施)問題54

問題 54
遺言に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。

1.公正証書遺言を作成する際には、証人2人以上の立会いが必要とされる。
2.公正証書遺言を作成した遺言者は、その遺言を自筆証書遺言によって撤回することができる。
3.自筆証書遺言を作成する際に財産目録を添付する場合、その目録はパソコン等で作成することができる。
4.自筆証書遺言は、自筆証書遺言書保管制度により法務局(遺言書保管所)に保管されているものであっても、相続開始後に家庭裁判所の検認を受けなければならない。

ファイナンシャル・プランニング技能検定 2級 学科試験(2023年5月28日実施)

正解:4

それでは、各肢を検討していこう。
2023年5月実施の問題は、2022年10月1日現在施行されている法令等により出題されているが、正解及び解説は2023年4月1日現在施行されている法令等に基づいて執筆する。

なお、本テーマについては、これまでにも取り上げている。↓

遺言の種類

種類自筆証書遺言公正証書遺言秘密証書遺言
特徴遺言者本人が全文財産目録はパソコンで作成、通帳のコピーも可)、日付(年月日が特定できることが必要)、氏名自書し押印(認印、拇印も可)遺言者が口述した内容を公証人が筆記して、遺言者、証人に読み聞かせて作成。
原本は公証役場に保管される。
作成には目的となる財産の価額に応じた手数料が必要。
遺言者が証書に署名押印して証書を封じて封印する。遺言者が保管。
代筆、ワープロ等の作成も可。
証人の立会い不要証人2人以上(ただし、未成年者、推定相続人、受遺者、及びその配偶者・直系血族は不可)公証人1人及び証人2人以上(ただし、未成年者、推定相続人、受遺者、及びその配偶者・直系血族は不可)
検認。ただし、法務局(遺言書保管所)で保管されている場合は不要。不要
遺言の種類

1 正しい。

公正証書遺言を作成する際には、証人2人以上の立会いが必要である。

2 正しい。

遺言の撤回は自由にできるが、原則として遺言の方式によらなければならない。ただし、先に作成した遺言と同じ形式である必要はない。公正証書遺言を後で自筆証書遺言で撤回しても差し支えない。

なお、前の遺言と後の遺言が抵触する部分は撤回したものとみなされる。

3 正しい。

財産目録はパソコン等で作成できる。

4 誤り。

検認とは
遺言書の偽造等を防ぐための証拠保全手続き。自書証書遺言(法務局(遺言書保管所)で保管しない場合)、秘密証書遺言は相続の開始後に、遅滞なく家庭裁判所に提出して検認を請求しなければならない。
なお、遺言の有効・無効を判断する手続きではない。

法務局(遺言書保管所)で保管されている場合は検認は不要である。