今回のテーマは、「固定利付債券の利回り」である。

それでは、「ファイナンシャル・プランニング技能検定 2級 学科試験(2023年1月22日実施)」で出題された過去問にチャレンジしてみよう。

ファイナンシャル・プランニング技能検定 2級 学科試験(2023年1月22日実施)問題23

問題 23
市場金利の変動と固定利付債券の利回り(単利・年率)および価格との関係に関する次の記述の空欄(ア)~(ウ)にあてはまる語句の組み合わせとして、最も適切なものはどれか。なお、手数料、経過利子、税金等については考慮しないものとし、計算結果は表示単位の小数点以下第3位を四捨五入するものとする。

表面利率が0.50%、償還年限が10年の固定利付債券が額面100円当たり100円で新規に発行された。5年後、市場金利が当該債券の発行時に比べて上昇した結果、債券の価格は( ア )して、( イ )となり、当該債券の現時点(発行から5年後)における最終利回りは0.70%(単利・年率)となった。また、当該債券を発行時に購入し、発行から5年後に( イ )で売却した場合の所有期間利回りは( ウ )となる。

1.(ア)下落 (イ) 99.03円 (ウ)0.31%

2.(ア)下落 (イ) 99.03円 (ウ)0.69%

3.(ア)上昇 (イ)100.98円 (ウ)0.69%

4.(ア)上昇 (イ)100.98円 (ウ)0.31%

ファイナンシャル・プランニング技能検定 2級 学科試験(2023年1月22日実施)

正解:1

それでは、問題文を検討していこう。
「固定利付債券の利回り」については、これまでに本ブログでも取り上げている。こちらから

債券価格の変動要因
債券価格は、市場金利の動向に大きな影響を受ける。

市場金利債券価格債券市況利回り
低下上昇好転低下
上昇低下悪化上昇
債券価格と市場動向

ア 市場金利が上昇すると、債券価格は下落する

最終利回りとは

すでに発行されている債権を購入し、時価(市場価格)で買い付け、償還期限まで保有していた場合の購入価格に対する収益の割合(1年間に受け取る利子と、1年あたりの償還差損益の合計)をいう。

最終利回り(%) $=\frac{利率+\frac{償還価格-購入価格}{残存期間}}{購入価格} ×100$

利回り計算問題

試験では、購入価格、利率、残存期間などは与えられるが、償還価格は与えられない。償還価格は100円と決まっている。

購入価格をxとして問題に当てはめて計算すると、最終利回りは

$\frac{0.5+\frac{100-x}{5}}{x} ×100=0.70$
$(0.5+\frac{100-x}{5})×100=0.70x$
$50+20(100-x)=0.7x$
$2050 = 20.7x$
$x=99.03$(小数点以下第3位を四捨五入)

イ 「99.03円」となる。

FP先生

別解)市場金利が上昇すると、債券価格は下落するので、各肢を見てみると、99.03円と100.98円のうち100円未満となっている99.03円が適切とわかります。

所有期間利回りとは

債券を時価(市場価格)で買い付け、償還期限まで保有せず中途売却する場合において、購入価格に対する収益の割合(1年間に受け取る利子と1年あたりの売却差損益の合計)をいう。

所有期間利回り(%) $=\frac{利率+\frac{売却価格-購入価格}{所有期間}}{購入価格} ×100$

問題に当てはめて計算すると、所有期間利回りは

$\frac{0.5+\frac{99.03-100}{5}}{100} ×100=0.31$%(小数点以下第3位を四捨五入)

となります。

ウ 「0.31%」となる。

したがって。1が正解となる。

参考)うかる! FP2級・AFP 王道テキスト 2022-2023年版(日本経済新聞出版)