今回のテーマは、「地震保険」である。
それでは、「ファイナンシャル・プランニング技能検定 1級 学科試験<基礎編>(2023年9月10日実施)」で出題された過去問にチャレンジしてみよう。
ファイナンシャル・プランニング技能検定 1級 学科試験<基礎編>(2023年9月10日実施)《問14》
《問14》 地震保険に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
1) 地震保険では、72時間以内に生じた2以上の地震等は、被災地域がまったく重複しない場合を除き、一括して1回の地震等とみなされる。
2) 地震保険は、火災保険に原則自動付帯となっているが、契約者が地震保険を付帯しないことの意思表示をした場合は、付帯しないことができる。
3) 地震保険では、1回の地震等により支払われる保険金の額にかかわらず、支払われる保険金の総額の2分の1を民間(各損害保険会社および日本地震再保険株式会社)が負担し、残りの2分の1を政府が負担する。
4) 地震を原因とする地盤液状化により、地震保険の対象である木造建物が傾斜した場合、傾斜の角度または沈下の深さにより一定の損害が認定されれば、保険金が支払われる。
ファイナンシャル・プランニング技能検定 1級 学科試験<基礎編>(2023年9月10日実施
本テーマはこれまでにも取り上げている。↓
FP2級の過去問を解いてみよう(2023年1月)「火災保険と地震保険の商品性」
それでは、各肢を検討していこう。
なお、問題は、2023年4月1日現在施行されている法令等により出題されているが、正解及び解説は2023年10月1日現在施行されている法令等に基づいて執筆する。
1 正しい。
地震保険では、72時間以内に生じた2以上の地震等は、被災地域がまったく重複しない場合を除き、一括して1回の地震等とみなされる。
2 正しい。
地震保険は、火災保険に原則自動付帯となっているが、契約者が地震保険を付帯しないことの意思表示をした場合は、その旨の確認印またはサインが必要となる。
3 誤り。
- 地震等による被災者の生活の安定に寄与することを目的として、民間保険会社が負う地震保険責任を政府が再保険し、再保険料の受入れ、管理・運用のほか、民間のみでは対応できない巨大地震発生の際には、再保険金の支払いを行うために地震再保険特別会計において区分経理しています。
- 1回の地震等により政府が支払うべき再保険金の総額は、毎年度、国会の議決を経た金額を超えない範囲内のものでなければならないとされています。
(参考)政府による再保険(財務省のWebサイト)
したがって、地震保険では、1回の地震等により支払われる保険金の額にかかわらず、支払われる保険金の総額の2分の1を民間(各損害保険会社および日本地震再保険株式会社)が負担し、残りの2分の1を政府が負担するわけではない。
4 正しい。
(3)「地震等」を原因とする地盤液状化による損害の認定基準
木造建物(在来軸組工法、枠組壁工法)、共同住宅を除く鉄骨造建物(鉄骨系プレハブ造建物等の戸建住宅)の場合、地盤液状化による建物の「傾斜」または「最大沈下量」に着目して被害程度を調査し、地盤液状化による損害の認定基準(表5 )を基に全損、大半損、小半損、一部損の認定を行います。
(引用)地震保険ご契約のしおり(2022年10月改定版)(日本損害保険協会Webサイト)
地震を原因とする地盤液状化により、地震保険の対象である木造建物が傾斜した場合、傾斜の角度または沈下の深さにより一定の損害が認定されれば、保険金が支払われる。