今回のテーマは、「個人賠償責任(補償)特約の一般的な商品性」である。
それでは、「ファイナンシャル・プランニング技能検定 1級 学科試験<基礎編>(2023年9月10日実施)」で出題された過去問にチャレンジしてみよう。
ファイナンシャル・プランニング技能検定 1級 学科試験<基礎編>(2023年9月10日実施)《問13》
《問13》 各種損害保険に付帯することができる個人賠償責任(補償)特約(以下、「本特約」という)の一般的な商品性に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。なお、記載のない事項については考慮しないものとする。
1) 民法第709条に規定する不法行為による損害について、本特約では、被保険者の故意による損害は補償の対象とならない。
2) 本特約における被保険者には、保険契約締結時における記名被保険者の配偶者や同居の親族等が含まれるが、保険契約締結後に婚姻により配偶者となった者や同居した親族は被保険者とならない。
3) 本特約では、別荘等の被保険者が一時的に居住の用に供する住宅の管理に起因して発生した偶然な事故は補償の対象とならない。
4) 本特約が付帯された自動車保険のノンフリート契約において、本特約の保険金が支払われた場合、「1等級ダウン事故」に該当し、契約更新後の等級は1等級下がる。
ファイナンシャル・プランニング技能検定 1級 学科試験<基礎編>(2023年9月10日実施)
それでは、各肢を検討していこう。
なお、問題は、2023年4月1日現在施行されている法令等により出題されているが、正解及び解説は2023年10月1日現在施行されている法令等に基づいて執筆する。
1 正しい。
民法第709条に規定する不法行為による損害について、本特約では、被保険者の故意による損害は補償の対象とならない。
2 誤り。
本特約における被保険者には、家族全員(記名被保険者、配偶者、記名被保険者または配偶者の同居親族や別居の未婚の子)が含まれ、続柄は、損害の原因となった事故発生時で判断される。
したがって、保険契約締結時ではない。
3 誤り。
別荘等の被保険者が一時的に居住の用に供する住宅の管理に起因して発生した偶然な事故も補償の対象となる。
4 誤り。
自動車保険に付帯された個人賠償特約(個人賠償責任補償特約)とは
自動車事故以外の日常生活の事故により、他人にケガをさせたり他人のモノを壊してしまい、法律上の損害賠償責任を負った場合に補償される。
なお、個人賠償特約のみを使っても、ノンフリート等級は下がらない。
(参考)ソニー損保のWebサイト
したがって、本特約が付帯された自動車保険のノンフリート契約において、本特約の保険金が支払われた場合、「1等級ダウン事故」に該当せず、契約更新後の等級は1等級下がらない。
1等級ダウン事故とは
保険を使った場合に、翌年の契約の等級が1等級下がる事故です。
契約車両の盗難・落書き、台風による損害などで車両保険等を使った場合が1等級ダウン事故になります。
ノーカウント事故とは
保険を使っても、事故が無かったときと同様に、翌年の契約の等級が1等級上がる事故です。
たとえば、人身傷害・搭乗者傷害・個人賠償特約のみを使った場合などがノーカウント事故になります。
(参考)ソニー損保のWebサイト