今回のテーマは、「自営業者(国民年金の第1号被保険者)の公的年金」である。

それでは、「ファイナンシャル・プランニング技能検定 1級 学科試験<基礎編>(2023年9月10日実施)」で出題された過去問にチャレンジしてみよう。

ファイナンシャル・プランニング技能検定 1級 学科試験<基礎編>(2023年9月10日実施)《問4》

《問4》 自営業者(国民年金の第1号被保険者)の公的年金に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。なお、記載のない事項については考慮しないものとする。

1) 寡婦年金を受給している者が婚姻した場合、当該寡婦年金の支給は停止されるが、婚姻後、65歳に達するまでの間に離婚した場合は、支給が再開される。
2) 寡婦年金の額は、夫の死亡日の属する月の前月までの第1号被保険者としての被保険者期間に係る死亡日の前日における保険料納付済期間および保険料免除期間を基に計算した老齢基礎年金の額の4分の3相当額であり、夫に第2号被保険者としての被保険者期間があっても、その期間は年金額に反映されない。
3) 死亡一時金は、死亡日の前日において、第1号被保険者としての被保険者期間に係る保険料納付済期間の月数、保険料4分の1免除期間の月数、保険料半額免除期間の月数および保険料4分の3免除期間の月数を合算した月数が36月以上ある者が死亡した場合に支給される。
4) 死亡一時金の支給を受けることができる遺族の範囲は、死亡した者の配偶者、子、父母、孫、祖父母であって、その者の死亡の当時その者と生計を同じくしていた者である。

ファイナンシャル・プランニング技能検定 1級 学科試験<基礎編>(2023年9月10日実施

正解:2

それでは、各肢を検討していこう。
なお、問題は、2023年4月1日現在施行されている法令等により出題されているが、正解及び解説は2023年10月1日現在施行されている法令等に基づいて執筆する。

1 誤り。

寡婦年金は、死亡日の前日において国民年金の第1号被保険者として保険料を納めた期間および国民年金の保険料免除期間が10年以上ある夫が亡くなったときに、その夫と10年以上継続して婚姻関係(事実上の婚姻関係を含む)にあり、死亡当時にその夫に生計を維持されていたに対して、その妻が60歳から65歳になるまでの間支給される。(国民年金の第2号、第3号被保険者期間は対象にならない。)

  • 年金額は、夫の第1号被保険者期間だけで計算した老齢基礎年金額の4分の3の額である。
  • 亡くなった夫が、老齢基礎年金・障害基礎年金を受けたことがあるときは支給されない。
  • 妻が繰り上げ支給の老齢基礎年金を受けているときは支給されない。

(参考)寡婦年金(日本年金機構のWebサイト)

寡婦年金を受給している者が婚姻した場合、当該寡婦年金の支給権は失権し、婚姻後、65歳に達するまでの間に離婚した場合でも再開しない。(国民年金法49条、51条)

(支給要件)
第49条 寡婦年金は、死亡日の前日において死亡日の属する月の前月までの第1号被保険者としての被保険者期間に係る保険料納付済期間と保険料免除期間とを合算した期間が10年以上である夫(保険料納付済期間又は第90条の3第1項の規定により納付することを要しないものとされた保険料に係る期間以外の保険料免除期間を有する者に限る。)が死亡した場合において、夫の死亡の当時夫によつて生計を維持し、かつ、夫との婚姻関係(届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にある場合を含む。)が10年以上継続した65歳未満の妻があるときに、その者に支給する。ただし、老齢基礎年金又は障害基礎年金の支給を受けたことがある夫が死亡したときは、この限りでない。
(略)

(失権)
第51条 寡婦年金の受給権は、受給権者が65歳に達したとき、又は第40条第1項各号のいずれかに該当するに至つたときは、消滅する。

(失権)
第40条 遺族基礎年金の受給権は、受給権者が次の各号のいずれかに該当するに至つたときは、消滅する。
 死亡したとき。
 婚姻をしたとき。
 養子となつたとき(直系血族又は直系姻族の養子となつたときを除く。)。
(略)

国民年金法・e-Gov法令検索

2 正しい。

寡婦年金の額は、夫の死亡日の属する月の前月までの第1号被保険者としての被保険者期間に係る死亡日の前日における保険料納付済期間および保険料免除期間を基に計算した老齢基礎年金の額の4分の3相当額であり、夫に第2号被保険者としての被保険者期間があっても、その期間は年金額に反映されない。
(肢1の解説参照)

3 誤り。

死亡一時金は、死亡日の前日において第1号被保険者として保険料を納めた月数※36月以上ある方が、老齢基礎年金・障害基礎年金を受けないまま亡くなった時、その方によって生計を同じくしていた遺族(1・配偶者、2・子、3・父母、4・孫、5・祖父母、6・兄弟姉妹の中で優先順位の高い方)に支給される。

4分の3納付月数は4分の3月,半額納付月数は2分の1月,4分の1納付月数は4分の1月として計算する。

(参考)死亡一時金(日本年金機構のWebサイト)

免除期間は1月とカウントされず、一定割合が算入される。

4 誤り。

死亡一時金の支給を受けることができる遺族の範囲は、死亡した者の配偶者、子、父母、孫、祖父母、兄弟姉妹であって、その者の死亡の当時その者と生計を同じくしていた者である。
(肢3の解説参照)

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