今回のテーマは、「青色申告法人の欠損金の繰越控除等」である。

それでは、「ファイナンシャル・プランニング技能検定 1級 学科試験<基礎編>(2023年5月28日実施)」で出題された過去問にチャレンジしてみよう。

ファイナンシャル・プランニング技能検定 1級 学科試験<基礎編>(2023年5月28日実施)問32

《問32》 青色申告法人の欠損金の繰越控除等に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。なお、各選択肢において、法人は資本金の額が5億円以上の法人に完全支配されている法人等ではない中小法人等であるものとし、ほかに必要とされる要件等はすべて満たしているものとする。

1) 欠損金額が生じた事業年度において、法人が青色申告書である確定申告書を提出している場合、その後の各事業年度について白色申告書である確定申告書を提出しても、欠損金の繰越控除の適用を受けることができる。
2) 繰り越された欠損金額が2以上の事業年度において生じたものからなる場合、そのうち最も古い事業年度において生じた欠損金額に相当する金額から順次損金の額に算入する。
3) 2023年4月1日に開始する事業年度において、資本金の額が1億円以下の法人が繰り越された欠損金額を損金の額に算入する場合、損金の額に算入することができる欠損金額は、繰越控除前の所得の金額の50%相当額が限度となる。
4) 災害により棚卸資産、固定資産等に生じた損失に係る欠損金額がある事業年度において、法人が提出した確定申告書が青色申告書でない場合であっても、その災害による欠損金額に相当する金額を、原則として、その事業年度から10年間にわたって繰り越すことができる。

ファイナンシャル・プランニング技能検定 1級 学科試験<基礎編>(2023年5月28日実施)

それでは、各肢を検討していこう。
2023年5月実施の問題は、2022年10月1日現在施行されている法令等により出題されているが、正解及び解説は2023年4月1日現在施行されている法令等に基づいて執筆する。

1 正しい。

欠損金額が生じた事業年度において青色申告書である確定申告書を提出していれば、その後の事業年度について提出した確定申告書が白色申告書であっても、その欠損金額についてはこの繰越控除の規定が適用される。

(参考)No.5762 青色申告書を提出した事業年度の欠損金の繰越控除(国税庁ホームページ)

2 正しい。

繰越欠損金が、2以上の事業年度において生じている場合には、最も古い事業年度において生じたものから順次損金算入する。

(参考)No.5762 青色申告書を提出した事業年度の欠損金の繰越控除(国税庁ホームページ)

3 誤り。

設問の「資本金の額が5億円以上の法人に完全支配されている法人等ではない」中小法人については、控除前所得金額の100%を控除することができる。

4 正しい。

青色申告書を提出していない事業年度であっても、その事業年度において生じた欠損金額のうち、災害によって資産について生じた損失があるときは、その災害損失の額については、10年間の繰越控除が認められる。