今回のテーマは、「所得税の非課税所得」である。

それでは、「ファイナンシャル・プランニング技能検定 1級 学科試験<基礎編>(2023年5月28日実施)」で出題された過去問にチャレンジしてみよう。

ファイナンシャル・プランニング技能検定 1級 学科試験<基礎編>(2023年5月28日実施)問25

《問25》 所得税の非課税所得に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。

1) 有料道路を使用せずに自動車で通勤している給与所得者に対し、勤務先から通常の給与に加算して支払われる通勤手当は、1カ月当たり最大で15万円までが非課税とされる。
2) 傷病手当金や出産手当金、出産育児一時金等の健康保険の保険給付として支給を受ける金銭は、その全額が非課税とされる。
3) 生命保険契約の収入保障特約において、当該年金受給権を相続により取得した相続人が受け取る毎年の年金額は、その全額が非課税とされる。
4) 地方公共団体に寄附(ふるさと納税)をした者が、寄附に対する謝礼として受け取った返礼品に係る経済的利益は、当該経済的利益が寄附金の額の3割以下であるときは非課税とされる。

ファイナンシャル・プランニング技能検定 1級 学科試験<基礎編>(2023年5月28日実施)

正解:2

それでは、各肢を検討していこう。

なお、問題は、2022年10月1日現在施行されている法令等により出題されているが、正解及び解説は2023年4月1日現在施行されている法令等に基づいて執筆する。

1 誤り。

電車やバス等の交通機関や有料道路を利用して通勤している給与所得者の通勤手当は、合理的な運賃等の額で、月額15万円を上限に非課税とされる。

電車やバス等の交通機関を利用せず、また、有料道路を使用せずに自家用車や自転車で通勤している給与所得者の通勤手当は、片道の通勤距離に応じて、一定の限度額までは、非課税となる。

2 正しい。

傷病手当金や出産手当金、出産育児一時金等の健康保険の保険給付として支給を受ける金銭は、その全額が非課税とされる。

3 誤り。

生命保険契約や損害保険契約等に基づく年金受給権を相続、遺贈または贈与により取得し、年金の支払を受けている人の、その支払を受ける年金に係る雑所得の計算は、年金の収入金額を非課税部分と課税部分に振り分けた上で計算する。

(参考)No.1620 相続等により取得した年金受給権に係る生命保険契約等に基づく年金の課税関係

4 誤り。

地方公共団体に寄附(ふるさと納税)をした者が、寄附に対する謝礼として受け取った返礼品に係る経済的利益は一時所得に該当する(所得税法第34条、所得税基本通達34-1(5))。
 なお、一時所得の金額は次のように計算する。

一時所得の金額イコール(A その年中の一時所得に係る総収入金額)マイナス(B その収入を得るために支出した金額の合計額(注1))マイナス50万円(注2)

(注)

1 その収入を生じた行為をするため、又はその収入を生じた原因の発生に伴い直接要した金額に限られる。

2 AからBを控除した残額が50万円に満たない場合には、その残額となる。

(参考)「ふるさと納税」を支出した者が地方公共団体から謝礼を受けた場合の課税関係(国税庁ホームページ)

なお、2019年6月より、返礼品の返礼割合を3割以下とすることとされており、これは、課税関係とは無関係である。
参考ふるさと納税に係る指定制度について(総務省・ふるさと納税ポータルサイト)