FP(ファイナンシャル・プランナー)とは
FP(ファイナンシャル・プランナー)は、顧客である個人や中小企業事業主の相談に応じて、顧客の資産に関する情報を収集・分析し、顧客のライフプランやニーズに合わせた貯蓄、投資、保険、税務、不動産、相続・事業承継等についてのプランを立案し、アドバイスを行う、資産相談に関する専門家をいいます。FPは、銀行や証券会社、保険会社等に勤務しながら、または独立した事務所を開いて、顧客の資産の相談に応じたり、アドバイスを行ったりして活躍しています。また、FPは、資産に関するセミナーの講師を務めたり、原稿の執筆を行ったりもします。
「ファイナンシャル・プランニング技能士」(FP技能士)とは
ファイナンシャル・プランニング技能士は、ファイナンシャル・プランニング技能検定を受検し、合格した方が称することができる国家資格です。ファイナンシャル・プランニング技能士には、1級、2級、3級の3つの等級があります。
一般社団法人 金融財政事情研究会 ウェブサイトより
本来「FP」とはファイナンシャル・プランナーを指しますが、本ブログでは、ファイナンシャル・プランニング技能検定に合格したファイナンシャル・プランニング技能士を指すものとします。
今回のテーマは、「相続税法上の債務控除」である。
それでは、「ファイナンシャル・プランニング技能検定 1級 学科試験<基礎編>(2023年1月22日実施)」で出題された過去問にチャレンジしてみよう。
ファイナンシャル・プランニング技能検定 1級 学科試験<基礎編>(2023年1月22日実施)問47
《問47》 相続税法上の債務控除に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。なお、
各選択肢において、相続人は日本国内に住所を有する個人であり、相続または遺贈により財産を取得したものとする。
1) 相続人が、被相続人の1月1日から死亡日までの所得金額に係る確定申告書を提出して所得税を納付した場合、その所得税額は債務控除の対象とならない。
2) 相続人が、相続財産の価額の算定のために要する鑑定費用を支払った場合、その費用は、社会通念上相当な金額であれば、債務控除の対象となる。
3) 相続の放棄をした者が、現実に被相続人の葬式費用を負担した場合、その負担額は、その者の遺贈によって取得した財産の価額からの債務控除の対象となる。
4) 連帯債務者が2人(弁済不能の状態にある者はいない)である債務について、そのうち1人に相続が開始した場合、相続人が承継する被相続人の連帯債務の負担割合が2分の1であっても、当該連帯債務の全額が債務控除の対象となる。
ファイナンシャル・プランニング技能検定 1級 学科試験<基礎編>(2023年1月22日実施)
それでは、各肢を検討していこう。なお、法令等は、2022年10月1日現在で施行されているものに基づくものとする。
1 誤り。
被相続人の1月1日から死亡日までの所得金額に係る確定申告書を提出して所得税を納付したのであるから、被相続人が負担すべきものである。したがって、その所得税額は債務控除の対象となる。
2 誤り。
相続人が、相続財産の価額の算定のために要する鑑定費用を支払った場合、その費用は、債務控除の対象とならない。この鑑定費用は、被相続人が残した債務ではないのである。
3 正しい。
相続放棄者等は、原則として債務控除は認められない。しかし、これらの者が負担した葬式費用で現実に負担した金額については、遺贈または相続時精算課税制度により取得した財産の価額から債務控除しても差し支えないとされている。
4 誤り
租税公課を含む被相続人の債務で相続開始の際に現存する債務のうち、被相続人の負担に属する部分の金額が債務控除の対象となる。(無制限納税義務者(居住・非居住)の場合)
したがって、被相続人が連帯債務者の場合、その連帯債務の負担割合に相当する額が債務控除の対象となる。