今回は、「所得税の仕組み」について、過去問で問われた内容を中心にポイントを取り上げる。
所得税
所得税は、個人が1月1日から12月31日までの1年間に得た所得に対して課税される（暦年課税単位）
所得金額 ＝ 収入金額 - 必要経費
所得が高い人ほど、税金の負担能力が高いので、所得が高くなるにつれて税率が高くなる超過累進税率（５％から４５％の７段階）を採用している。
所得の分類
所得は、発生形態に応じて、次の１０種類に分類される。
- 利子所得 預貯金及び公社債の利子。公社債投資信託の収益の分配に係る所得。
- 配当所得 株式の配当金など。公社債投資信託以外の投資信託の収益の分配。
- 事業所得 事業から生じた所得。
- 不動産所得 不動産等の貸付による賃料など。
- 給与所得 給与、賞与など。
- 退職所得 退職金など。
- 山林所得 山林の伐採または譲渡による所得。
- 譲渡所得 資産の譲渡による所得。
- 一時所得 生命保険の満期保険金など。
- 雑所得 公的年金の老齢給付、個人年金など。
納税方法の課税方式による区分
- 申告納税方式 所得税、法人税、贈与税、相続税など。納税者が自分で税額を計算して納めるべき金額を申告する。
- 賦課課税方式 住民税、固定資産税、自動車税など。国や地方公共団体が計算して通知した税額を納める。
所得税の計算
STEP1
所得金額の算出 １０種類の所得ごとに所得金額を算出する。
STEP2
総所得金額の算出 損益通算と繰越控除を行い、総所得金額（課税標準）を算出する。
STEP3
課税総所得金額の算出 課税標準から各所得控除を差し引いて課税金額を算出する。
STEP4
所得税額の算出 課税金額に税率をかけ、税額控除があれば、差し引いて所得税額を算出。
STEP5
申告納税額の算出 源泉徴収税額があれば、所得税額から差し引いて申告納税額を算出。
それでは、これまで見てきたポイントを過去問で確認してみよう。
過去問にチャレンジ
問題 ３１
所得税の原則的な仕組みに関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
１．所得税では、課税対象となる所得を１０種類に区分し、それぞれの所得の種類ごとに定められた計算方法により所得の金額を計算する。
２．合計所得金額は、損益通算後の各種所得の金額の合計額に、純損失や雑損失の繰越控除を適用した後の金額である。
３．課税総所得金額に対する所得税額は、課税総所得金額に応じて７段階に区分された税率を用いて計算される。
４．所得税では、納税者本人が所得の金額とこれに対応する税額を計算し、申告・納付する申告納税方式を採用している。
2022年5月試験 ２級学科試験
１．正しい
２．合計所得金額とは、損益通算後の各所得金額を合計した額。その後、純損失や雑損失の繰越控除を適用した額が総所得金額等である。
３．正しい
４．正しい
（参考文献）’22~’23年版 最短合格2級FP技能士（きんざい）、FP2級・AFP 合格のトリセツ 速習テキスト 2022-23年版（LEC東京リーガルマインド）、史上最強のFP2級AFPテキスト22-23年版（ナツメ社 ）
