今回のテーマは、「任意加入の自動車保険」である。

それでは、「ファイナンシャル・プランニング技能検定 2級 学科試験(2023年5月28日実施)」で出題された過去問にチャレンジしてみよう。

ファイナンシャル・プランニング技能検定 2級 学科試験(2023年5月28日実施)問題17

問題 17
任意加入の自動車保険の一般的な商品性に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。なお、特約については考慮しないものとする。

1.駐車中の被保険自動車が当て逃げにより損害を被った場合、当て逃げの相手が判明しなくても、その損害は一般条件の車両保険の補償の対象となる。
2.被保険自動車が地震を原因とする津波により水没した場合、その損害は一般条件の車両保険の補償の対象となる。
3.被保険自動車を運転中に、誤って店舗建物に衝突して損壊させ、当該建物自体の損害に加え、建物の修理期間中の休業により発生した損害(休業損害)について法律上の損害賠償責任を負った場合、それらの損害は対物賠償保険の補償の対象となる。
4.被保険自動車の運転中に、誤って兄の所有する自宅の車庫に衝突して損壊させ、法律上の損害賠償責任を負った場合、その損害は対物賠償保険の補償の対象となる。

ファイナンシャル・プランニング技能検定 2級 学科試験(2023年5月28日実施)

正解:2

それでは、各肢を検討していこう。
2023年5月実施の問題は、2022年10月1日現在施行されている法令等により出題されているが、正解及び解説は2023年4月1日現在施行されている法令等に基づいて執筆する。

なお、本テーマについては、これまでにも取り上げている。↓

1 正しい。

車両保険:「一般条件」の場合、他車との衝突、盗難火災、台風による洪水高潮のほか、単独事故、当て逃げによる損害は、いずれも補償されるが、「車対車+A」(エコノミー型)などの補償範囲限定タイプは、一般に単独事故、※当て逃げは補償されない。

※エコノミー型でも当て逃げを補償の対象としている商品もある。(筆者調べ)↓
(参考)

2 誤り。

車両保険:地震噴火津波による損害は、特約がなければ、補償されない。
(参考)

3 正しい。

当該建物自体の損害に加え、休業損害についても対物賠償保険の補償の対象となる。
(参考)
対物賠償保険(対物賠償責任保険)とは。保険金額はいくら?(チューリッヒ保険のウエブサイト)

対物賠償保険とは
  • 他人(家族以外)の物を壊した場合、損害額を補填
  • 本人(記名被保険者及び被保険自動車の運転者)・配偶者父母の財物は補償されない
    被害者が兄弟姉妹の場合は補償される
  • 酒酔い運転、無免許運転(免許失効中も含む)による事故も補償
  • 保険金の額は無制限にできる

4 正しい。

対物賠償保険では、被害者が兄弟姉妹の場合は補償される