宅地建物取引士資格試験(宅建試験)で出題された民法の過去問にチャレンジしてみよう。

今回のテーマは、「期間の計算」である。

令和4年度 宅地建物取引士資格試験 問題

【問 5】 期間の計算に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、正しいものはどれか。なお、明記された日付は、日曜日、国民の祝日に関する法律に規定する休日その他の休日には当たらないものとする。

1 令和4年10月17日午前10時に、引渡日を契約締結日から1年後とする不動産の売買契約を締結した場合、令和5年10月16日が引渡日である。

2 令和4年8月31日午前10時に、弁済期限を契約締結日から1か月後とする金銭消費貸借契約を締結した場合、令和4年9月30日の終了をもって弁済期限となる。

3 期間の末日が日曜日、国民の祝日に関する法律に規定する休日その他の休日に当たるときは、その日に取引をしない慣習がある場合に限り、期間はその前日に満了する。

4 令和4年5月30日午前10時に、代金の支払期限を契約締結日から1か月後とする動産の売買契約を締結した場合、令和4年7月1日の終了をもって支払期限となる。

令和4年度 宅地建物取引士資格試験 令和4年10月16日
正解:2

それでは、各肢を検討していこう。なお、法令等は、令和4年4月1日現在で施行されているものによるものとする。

期間の計算方法

時間(時・分・秒)によって期間を定めたとき

その期間は、即時から起算する。(139条)

日、週、月又は年によって期間を定めたとき

期間の初日は、算入しない。(初日不算入の原則 140条本文)ただし、その期間が午前零時から始まるときは、初日を算入する。(140条ただし書)

また、期間は、その末日の終了をもって満了する。(141条)

週、月又は年によって期間を定めたとき

その期間は、暦に従って計算する。(143条1項)

なお、週、月又は年の初めから期間を起算しないときは、その期間は、最後の週、月又は年においてその起算日に応当する日の前日に満了する。(143条2項本文)

ただし、月又は年によって期間を定めた場合において、最後の月に応当する日がないときは、その月の末日に満了する。(143条2項ただし書)

1 誤り。

本肢では、「令和4年10月17日午前10時に」となっているので、初日不算入となり、10月18日から起算する。そして、1年後の応当日は令和5年10月18日となり、その前日の令和5年10月17日が引渡日となる。

2 正しい。

本肢では、「令和4年8月31日午前10時に」となっているので、初日不算入となり、9月1日から起算する。そして、1か月後の応当日は、令和4年10月1日となり、その前日の令和4年9月30日が弁済期限となる。

3 誤り。

期間の末日が日曜日、国民の祝日に関する法律に規定する休日その他の休日に当たるときは、その日に取引をしない慣習がある場合に限り、期間は、その翌日に満了する。(142条)

4 誤り。

本肢では、「令和4年5月30日午前10時に」となっているので、初日不算入となり、5月31日から起算する。そして、1か月後の応当日は、令和4年6月31日となるが、存在しないので、月末である令和4年6月30日が支払期限となる。

(期間の起算)
第百三十九条 時間によって期間を定めたときは、その期間は、即時から起算する。
第百四十条 日、週、月又は年によって期間を定めたときは、期間の初日は、算入しない。ただし、その期間が午前零時から始まるときは、この限りでない。
(期間の満了)
第百四十一条 前条の場合には、期間は、その末日の終了をもって満了する。
第百四十二条 期間の末日が日曜日、国民の祝日に関する法律(昭和二十三年法律第百七十八号)に規定する休日その他の休日に当たるときは、その日に取引をしない慣習がある場合に限り、期間は、その翌日に満了する。
(暦による期間の計算)
第百四十三条 週、月又は年によって期間を定めたときは、その期間は、暦に従って計算する。
2 週、月又は年の初めから期間を起算しないときは、その期間は、最後の週、月又は年においてその起算日に応当する日の前日に満了する。ただし、月又は年によって期間を定めた場合において、最後の月に応当する日がないときは、その月の末日に満了する。

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