本ブログでは、「賃貸不動産経営管理士」を「賃貸管理士」と称する。
また、「賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律」を「管理業法」と称する。
今回のテーマは、「管理業法(管理受託部分)3」である。
それでは、「賃貸不動産経営管理士試験」で出題された過去問にチャレンジしてみよう。
令和4年度 賃貸不動産経営管理士試験 【問 4】
【問 4】 管理受託契約の締結時に交付する書面に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
1 管理受託契約を、契約の同一性を保ったまま契約期間のみ延長する内容で更新する場合には、更新時に管理受託契約の書面の交付は不要である。
2 管理受託契約重要事項説明書と管理受託契約の締結時に交付する書面は、一体の書面とすることができる。
3 管理受託契約は、標準管理受託契約書を用いて締結しなければならず、内容の加除や修正をしてはならない。
4 管理受託契約締結時の交付書面は、電磁的方法により提供することはできない。
令和4年度 賃貸不動産経営管理士試験
それでは、各肢を検討していこう。
なお、問題は、2022年4月1日現在施行されている法令等により出題されているが、正解及び解説は2023年10月1日現在施行されている法令等に基づいて執筆する。
1 正しい。
賃貸住宅管理業者は、管理受託契約を締結したときは、管理業務を委託する賃貸住宅の賃貸人(委託者)に対し、遅滞なく、管理受託契約の締結時の書面を交付しなければならない。(管理業法14条1項)
なお、契約の同一性を保ったままで契約期間のみを延長することや、組織運営に変更のない商号又は名称等の変更等、形式的な変更と認められる場合は、管理受託契約締結時書面の交付は行わないこととして差し支えない。(管理業法の解釈・運用の考え方14条1項関係2)
2 誤り。
管理受託契約の重要事項説明書は、契約締結に先立って交付する書面であり、管理受託契約の締結時の書面は交付するタイミングが異なる書面であることから、両書面を一体で交付することはできない。(管理業法FAQ3(2)3)
3 誤り。
「賃貸住宅標準管理委託契約書」は居住のみを目的とした民間賃貸住宅1棟全体について、賃貸住宅管理業者が所有者から管理業務を受託する場合の管理委託契約書である。この契約書は、賃貸住宅に共通する管理事務に関する標準的な契約内容を定めたものであり、実際の契約書作成にあたっては、個々の状況や必要性に応じて内容の加除、修正を行い活用されるべきものである。(受託契約書コメント全般関係①②)
4 誤り。
賃貸住宅管理業者は、管理受託契約の締結時の書面の交付に代えて、管理業務を委託した賃貸住宅の賃貸人の承諾を得て、当該書面に記載すべき事項を電磁的方法により提供することができる。(管理業法14条2項、同13条2項)