本稿では、「マンションの管理の適正化の推進に関する法律」を「マンション管理適正化法」と称する。

今回のテーマは、「マンション管理適正化法による基本方針等」である。

それではさっそく、「令和4年度 管理業務主任者試験」で出題された過去問にチャレンジしてみよう。

令和4年度 管理業務主任者試験問題 【問 46】

【問 46】 次の記述のうち、マンション管理適正化法によれば、不適切なものはいくつあるか。

ア 国土交通大臣は、住生活基本法第15条第1 項に規定する全国計画との調和が保たれたマンションの管理の適正化の推進を図るための基本的な方針を定めなければならない。
イ 都道府県等は、あらかじめマンション管理適正化推進計画を作成したうえで、管理組合の管理者等(管理者等が置かれていないときは、当該管理組合を構成するマンションの区分所有者等。)に対し、マンションの管理の適正化を図るために必要な助言及び指導をしなければならない。
ウ 管理組合の管理者等は、国土交通省令で定めるところにより、当該管理組合による管理計画を作成し、計画作成都道府県知事等の認定を申請することができる。
エ 計画作成都道府県知事等は、認定管理者等が認定管理計画に従って管理計画認定マンションの管理を行っていないと認めるときは、直ちに、当該認定管理計画の認定を取り消すことができる。
1  一つ
2  二つ
3  三つ
4  四つ

令和4年度 管理業務主任者試験問題

正解:2

それでは、各肢を検討していこう。
なお、問題は、2022年4月1日現在施行されている法令等により出題されているが、正解及び解説は2023年4月1日現在施行されている法令等に基づいて執筆する。

ア 正しい。

国土交通大臣は、マンションの管理の適正化の推進を図るための基本方針を定めなければならない。(マンション管理適正化法3条1項)

そして、基本方針は、住生活基本法規定する全国計画との調和が保たれたものでなければならない。(同3項)

イ 誤り。

都道府県等は、マンション管理適正化指針に即し、管理組合の管理者等(管理者等が置かれていないときは、当該管理組合を構成するマンションの区分所有者等。)に対し、マンションの管理の適正化を図るために必要な助言及び指導をすることできる。(マンション管理適正化法5条の2第1項)

したがって、助言及び指導をしなければならないわけではない。

ウ 正しい。

管理組合の管理者等は、国土交通省令で定めるところにより、当該管理組合によるマンションの管理に関する計画(管理計画)を作成し、マンション管理適正化推進計画を作成した都道府県等の長(計画作成都道府県知事等)の認定を申請することができる。(マンション管理適正化法5条の3第1項)

エ 誤り。

計画作成都道府県知事等は、認定管理者等が認定管理計画に従って管理計画認定マンションの管理を行っていないと認めるときは、当該認定管理者等に対し、相当の期限を定めて、その改善必要な措置を命ずることができる
(マンション管理適正化法5条の9)

そして、計画作成都道府県知事等は、この改善命令違反したときは、認定管理計画の認定を取り消すことができる
(同5条の10第1項1号)

したがって、直ちに、当該認定管理計画の認定を取り消すことができるのではない。