今回のテーマは、「管理業者の義務」である。

それではさっそく、「令和4年度 管理業務主任者試験」で出題された過去問にチャレンジしてみよう。

令和4年度 管理業務主任者試験問題 【問 48】

【問 48】 マンション管理業者が管理組合から管理事務を受託する際の次の記述のうち、マンション管理適正化法によれば、適切なものを全て含む組合せはどれか。

ア マンション管理業者は、管理組合から管理事務の委託を受けることを内容とする契約を締結したときは、当該管理組合の管理者等(当該マンション管理業者が当該管理組合の管理者等である場合又は当該管理組合に管理者等が置かれていない場合にあっては、当該管理組合を構成するマンションの区分所有者等全員)に対し、遅滞なく、管理事務の対象となるマンションの部分等を記載した書面を交付しなければならず、当該書面を作成するときは、管理業務主任者をして、当該書面に記名させなければならない。

イ マンション管理業者は、管理組合から委託を受けた管理事務について、管理受託契約を締結した年月日や管理組合の名称等を記載した帳簿を作成し、また、当該帳簿を各事業年度の末日をもって閉鎖するものとし、閉鎖後5 年間当該帳簿を保存しなければならない。

ウ マンション管理業者は、管理組合から委託を受けた管理事務のうち基幹事務については、当該管理組合の管理者等が承諾すれば、これを一括して他人に委託することができる。

1  ア・イ
2  ア・ウ
3  イ・ウ
4  ア・イ・ウ

令和4年度 管理業務主任者試験問題

正解:1

それでは、各肢を検討していこう。
なお、問題は、2022年4月1日現在施行されている法令等により出題されているが、正解及び解説は2023年4月1日現在施行されている法令等に基づいて執筆する。

なお、本稿では、「マンションの管理の適正化の推進に関する法律」を「マンション管理適正化法」と称する。

ア 正しい。

マンション管理業者は、管理組合から管理事務の委託を受けることを内容とする契約締結したときは、当該管理組合の管理者等(当該マンション管理業者が当該管理組合の管理者等である場合又は当該管理組合に管理者等が置かれていない場合にあっては、当該管理組合を構成するマンションの区分所有者等全員)に対し、遅滞なく、管理事務の対象となるマンションの部分等の一定事項を記載した書面交付しなければならない。(マンション管理適正化法73条1項)

そして、マンション管理業者は、当該書面を作成するときは、管理業務主任者をして、当該書面に記名させなければならない。(同2項)

イ 正しい。

マンション管理業者は、管理組合から委託を受けた管理事務について、国土交通省令で定めるところにより、帳簿を作成し、これを保存しなければならない。(マンション管理適正化法75条)

また、マンション管理業者は、当該帳簿(電磁的記録を含む。)を各事業年度の末日をもって閉鎖するものとし、閉鎖後5年間当該帳簿を保存しなければならない。(マンション管理適正化法施行規則86条3項)

ウ 誤り。

マンション管理業者は、管理組合から委託を受けた管理事務のうち基幹事務については、これを一括して他人に委託してはならない。

なお、これは、管理組合の管理者等が承諾しても禁止されている。

したがって、正解は、1となる。