今回のテーマは、「バリアフリー」である。
それではさっそく、「マンション管理士試験」で出題された過去問にチャレンジしてみよう。
令和4年度 マンション管理士試験 〔問42〕
〔問 42〕 マンションのバリアフリーに関する次の記述のうち、適切でないものはどれか。
1 高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律(平成18 年法律第91 号)における建築物特定施設には、敷地内の通路や駐車場が含まれる。
2 高齢者が住むことが想定される住戸とエレベーターホールをつなぐ共用廊下は、仕上材を滑りにくい材料とし、段差のないつくりとした。
3 階段の代わりに設けた傾斜路の両側に、手が置きやすいように床面から85 cm の位置に手すりを設けた。
4 建築物移動等円滑化基準に、不特定かつ多数の者が利用し、又は主として高齢者、障害者等が利用する階段は、踊場を含めて手すりを設けることが定められている。
令和4年度 マンション管理士試験
それでは、各肢を検討していこう。
なお、問題は、令和4年4月1日現在施行されている法令等により出題されているが、正解及び解説は令和5年4月1日現在施行されている法令等に基づいて執筆する。
本稿では、「高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律 (平成十八年法律第九十一号)」をバリアフリー法という。
1 正しい。
建築物特定施設とは、出入口、廊下、階段、エレベーター、便所、敷地内の通路、駐車場その他の建築物又はその敷地に設けられる施設で政令で定めるものをいう。(バリアフリー法2条20号)
2 正しい。
不特定かつ多数の者が利用し、又は主として高齢者、障害者等が利用する廊下等は、その表面は、粗面とし、又は滑りにくい材料で仕上げなければならない。(バリアフリー法施行令11条1号)
共用廊下の床は、段差のない構造としなければならない。(令和4年国土交通省告示第1108号)
3 正しい。
不特定かつ多数の者が利用し、又は主として高齢者、障害者等が利用する傾斜路(階段に代わり、又はこれに併設するものに限る。)は、勾配が12分の1を超え、又は高さが16センチメートルを超える傾斜がある部分には、手すりを設ける必要がある。(バリアフリー法施行令13条1号)
手すりの上端の高さ(通路、階段)は以下の通りとする。
通路(廊下、傾斜路)
・1本の場合、高さ=75~85㎝程度
・2本の場合、 高さ=75~85㎝程度
高さ、=60~65㎝程度
(高齢者、障害者等の円滑な移動等に配慮した建築設計標準2.14A.手すり)
4 誤り。
不特定かつ多数の者が利用し、又は主として高齢者、障害者等が利用する階段は、踊場を除き、手すりを設けること。
(バリアフリー法施行令12条1号)