今回のテーマは、「建物の構造形式」である。

それではさっそく、「賃貸不動産経営管理士試験」で出題された過去問にチャレンジしてみよう。

令和4年度 賃貸不動産経営管理士試験 【問 12】

【問 12】 建物の構造形式に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。

1 鉄筋コンクリート造は、建設工事現場でコンクリートを打ち込むので、乾燥収縮によるひび割れは発生しにくい。
2 ラーメン構造は、各節点において部材が剛に接合されている骨組であり、鉄筋コンクリート造の建物に数多く用いられている。
3 CLT工法は、木質系工法で、繊維方向が直交するように板を交互に張り合わせたパネルを用いて、床、壁、天井(屋根)を構成する工法である。
4 壁式鉄筋コンクリート造は、ラーメン構造と異なり、柱が存在しない形式で耐力壁が水平力と鉛直荷重を支える構造であり、特に低層集合住宅で使われている。

令和4年度 賃貸不動産経営管理士試験

正解:1

それでは、各肢を検討していこう。

1 誤り。

鉄筋コンクリート造は、建設工事現場でコンクリートを打ち込むので、乾燥収縮によるひび割れは発生しやすい

2 正しい。

柱・梁という部材同士が剛接合され、水平方向の外力などに対抗できる強い骨組を形成しているような建築構造のこと。「ラーメン」とは「」という意味である。

剛接合とは、部材の接合部が完全に固定されており、水平方向の力がかかっても接合部が回転・変形しないということを指している。

3 正しい。

CLTとは、木材板を積層接着した厚型のパネルのこと。(Cross Laminated Timber)
CLT工法は、木質系工法であり、CLTを用いて、床、壁、天井(屋根)を構成する工法。

4 正しい。

「壁式鉄筋コンクリート構造」は、「柱」「梁」を設けず、基本的に「壁」だけで荷重を支えるような鉄筋コンクリート構造である。内部空間が広く使用できるというメリットがある。なお強度を確保するため、壁の中には梁に相当する配筋が作られている。

壁が多い中層建物に最適である。しかもコストが安く、空間が広く取れるため、3階建共同住宅などで多用されている。

(参考)不動産用語集(三井住友トラスト不動産)