今回のテーマは、「定期建物賃貸借」である。

それではさっそく、「賃貸不動産経営管理士試験」で出題された過去問にチャレンジしてみよう。

令和4年度 賃貸不動産経営管理士試験 【問 24】

【問 24】 定期建物賃貸借契約に関する次の記述のうち、誤っているものはいくつあるか。

ア 貸主が死亡したときに賃貸借契約が終了する旨の特約は、有効である。
イ 期間50 年を超える定期建物賃貸借契約は、有効である。
ウ 定期建物賃貸借契約に特約を設けることで、借主の賃料減額請求権を排除することが可能である。
エ 契約期間の定めを契約書に明記すれば、更新がなく期間満了により当該建物の賃貸借が終了する旨(更新否定条項)を明記したと認められる。
1 なし
2 1つ
3 2つ
4 3つ

令和4年度 賃貸不動産経営管理士試験

正解:3

それでは、各肢を検討していこう。
なお、問題は、令和4年4月1日現在施行されている法令等により出題されているが、正解及び解説は令和5年4月1日現在施行されている法令等に基づいて執筆する。

なお、本テーマについてはこれまでにも取り上げている。↓

定期建物賃貸借契約とは、
更新がなく一定期間で契約が終了する建物賃貸借契約である。
借家期間は1年未満でもよく、最長期間の制限もない。
契約を締結する際には、公正証書の書面(または、電磁的方法)で行う必要がある。

ア 誤り。

定期建物賃貸借契約の期間は確定したものでなければならない

イ 正しい。

民法604条の規定は、建物の賃貸借については、適用しない。(借地借家法29条2項)
(参考)賃貸借の存続期間は、50年を超えることができない。(民法604条)

したがって、期間50 年を超える定期建物賃貸借契約は、有効である。

ウ 正しい。

定期建物賃貸借において、借賃の改定に係る特約がある場合には、当事者は、将来に向かって建物の借賃の額の増減を請求することができる規定は適用されない。(借地借家法38条9項、同32条)

したがって、定期建物賃貸借契約に特約を設けることで、借主の賃料減額請求権を排除することが可能である。

エ 誤り。

定期建物賃貸借契約では、賃貸人は、契約締結に、賃借人に対して、「契約の更新がなく、期間満了で終了する」旨を記載した書面(または、電磁的方法)で説明しなければならない。この説明がないと、普通借家契約となる。(借地借家法38条)

したがって、契約期間の定めを契約書に明記しただけでは、更新がなく期間満了により当該建物の賃貸借が終了する旨(更新否定条項)を明記したと認められない。