今回のテーマは、「遺産の分割」である。

それでは、「ファイナンシャル・プランニング技能検定 2級 学科試験(2023年5月28日実施)」で出題された過去問にチャレンジしてみよう。

ファイナンシャル・プランニング技能検定 2級 学科試験(2023年5月28日実施)問題53

問題 53
遺産の分割に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。

1.共同相続人は、一定の場合を除き、遺産の全部ではなく一部の分割内容のみを定めた遺産分割協議書を作成することができる。
2.換価分割は、共同相続人が相続により取得した財産の全部または一部を金銭に換価し、その換価代金を共同相続人の間で分割する方法である。
3.代償分割は、現物分割を困難とする事由がある場合に、共同相続人が家庭裁判所に申し立て、その審判を受けることにより認められる分割方法である。
4.相続人が代償分割により他の相続人から交付を受けた代償財産は、相続税の課税対象となる。

ファイナンシャル・プランニング技能検定 2級 学科試験(2023年5月28日実施)

正解:3

それでは、各肢を検討していこう。
2023年5月実施の問題は、2022年10月1日現在施行されている法令等により出題されているが、正解及び解説は2023年4月1日現在施行されている法令等に基づいて執筆する。

なお、本テーマについては、これまでにも取り上げている。↓

1 正しい。

共同相続人は、被相続人が遺言で禁じた場合又は分割をしない旨の契約をした場合を除き、いつでも、その協議で、遺産の全部又は一部の分割をすることができる。(民法907条1項)

したがって、共同相続人は、遺産の全部ではなく一部の分割内容のみを定めた遺産分割協議書を作成することができる。

2 正しい。

換価分割とは
相続財産の一部または全部を売却して、その代金を分割する方法である。

3 誤り。

代償分割とは
特定の相続人が財産を取得して、代わりに自己の固有財産(代償財産)を他の相続人に支払う方法である。
家庭裁判所に申し立てて審判を受ける必要はない。
なお、裁判所が関与する分割に「調停分割」と「審判分割」がある。

4 正しい。

代償分割で取得した代償財産は、被相続人から承継取得をしたものではないが、遺産の分割協議により発生した債権に基づいて取得する。これは、実質的に相続によって取得したのと同様であるので、相続税の課税対象となる。