今回のテーマは、「集会(議案の要領の通知)」である。

それではさっそく、「マンション管理士試験」で出題された過去問にチャレンジしてみよう。

令和4年度 マンション管理士試験 〔問8〕

〔問 8〕 集会において次の事項を決議する場合、区分所有法の規定によれば、議案の要領の通知を要しないものはどれか。ただし、招集手続の省略について、区分所有者全員の同意を得ていないものとする。

1 区分所有建物の一部の階段室をエレベーター室へ変更すること。
2 管理員室を廃止して、来客用の宿泊室に転用すること。
3 管理者を解任すること。
4 建物の価格の2分の1を超える部分が滅失したときに、滅失した共用部分を
復旧すること。

令和4年度 マンション管理士試験

正解:3

それでは、各肢を検討していこう。
なお、問題は、令和4年4月1日現在施行されている法令等により出題されているが、正解及び解説は令和5年4月1日現在施行されている法令等に基づいて執筆する。
また、「建物の区分所有等に関する法律」(昭和三十七年法律第六十九号)については、「区分所有法」と称する。

1 通知を要する。

共用部分の重大変更(その形状又は効用の著しい変更を伴わないものを除く共用部分の変更)は、議案の要領をも通知しなければならない。(区分所有法35条5項、17条1項)

本肢の場合、共用部分の重大変更に該当する。

2 通知を要する。

本肢の場合、共用部分の重大変更に該当する。(区分所有法35条5項、17条1項)

3 通知を要しない。

議案の要領をも通知しなければならないものは、区分所有法35条5項に列挙されている。ところが、本肢の場合(管理者を解任すること)はどれにも該当しない。したがって、通知を要しない。

なお、区分所有者は、規約に別段の定めがない限り集会の普通決議によつて、管理者を選任し、又は解任することができる。(区分所有法25条1項、39条1項)

普通決議:区分所有者及び議決権の各過半数

4 通知を要する。

建物の価格の2分の1を超える部分が滅失したとき、滅失した共用部分を復旧する旨の決議には、議案の要領をも通知しなければならない。(区分所有法35条5項、61条5項)

(招集の通知)
第三十五条 集会の招集の通知は、会日より少なくとも一週間前に、会議の目的たる事項を示して、各区分所有者に発しなければならない。ただし、この期間は、規約で伸縮することができる。
(略)
5 第一項の通知をする場合において、会議の目的たる事項が第十七条第一項第三十一条第一項第六十一条第五項第六十二条第一項第六十八条第一項又は第六十九条第七項に規定する決議事項であるときは、その議案の要領をも通知しなければならない。

(共用部分の変更)
第十七条 共用部分の変更(その形状又は効用の著しい変更を伴わないものを除く。)は、区分所有者及び議決権の各四分の三以上の多数による集会の決議で決する(略)

(規約の設定、変更及び廃止)
第三十一条 規約の設定、変更又は廃止は、区分所有者及び議決権の各四分の三以上の多数による集会の決議によつてする。(略)

(建物の一部が滅失した場合の復旧等)
第六十一条 建物の価格の二分の一以下に相当する部分が滅失したときは、各区分所有者は、滅失した共用部分及び自己の専有部分を復旧することができる。(略)
5 第一項本文に規定する場合を除いて、建物の一部が滅失したときは、集会において、区分所有者及び議決権の各四分の三以上の多数で、滅失した共用部分を復旧する旨の決議をすることができる。

(建替え決議)
第六十二条 集会においては、区分所有者及び議決権の各五分の四以上の多数で、建物を取り壊し、かつ、当該建物の敷地若しくはその一部の土地又は当該建物の敷地の全部若しくは一部を含む土地に新たに建物を建築する旨の決議(以下「建替え決議」という。)をすることができる。(略)

(規約の設定の特例)
第六十八条 次の物につき第六十六条において準用する第三十条第一項の規約を定めるには、第一号に掲げる土地又は附属施設にあつては当該土地の全部又は附属施設の全部につきそれぞれ共有者の四分の三以上でその持分の四分の三以上を有するものの同意、第二号に掲げる建物にあつてはその全部につきそれぞれ第三十四条の規定による集会における区分所有者及び議決権の各四分の三以上の多数による決議があることを要する。
一 一団地内の土地又は附属施設(これらに関する権利を含む。)が当該団地内の一部の建物の所有者(専有部分のある建物にあつては、区分所有者)の共有に属する場合における当該土地又は附属施設(専有部分のある建物以外の建物の所有者のみの共有に属するものを除く。)
二 当該団地内の専有部分のある建物(略)

(団地内の建物の建替え承認決議)
第六十九条 (略)
7 前項の場合において、当該特定建物が専有部分のある建物であるときは、当該特定建物の建替えを会議の目的とする第六十二条第一項の集会において、当該特定建物の区分所有者及び議決権の各五分の四以上の多数で、当該二以上の特定建物の建替えについて一括して建替え承認決議に付する旨の決議をすることができる。(略)

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