今回のテーマは、「管理者(管理所有)」である。

それではさっそく、「マンション管理士試験」で出題された過去問にチャレンジしてみよう。

令和4年度 マンション管理士試験 〔問3〕

〔問 3〕 管理所有に関する次の記述のうち、区分所有法の規定によれば、正しいものはどれか。

1 規約の別段の定めによっても、管理者は一部共用部分を所有することはできない。
2 規約の別段の定めによっても、共用部分の所有者を管理者以外の特定の区分所有者とすることはできない。
3 管理所有者は、その者が管理所有する共用部分を保存し、又は改良するため必要な範囲内において、他の区分所有者の専有部分又は自己の所有に属しない共用部分の使用を請求することができる。
4 管理所有者は、その者が管理所有する共用部分について、その形状又は効用の著しい変更を伴わないものであっても、変更をすることはできない。

令和4年度 マンション管理士試験

正解:3

それでは、各肢を検討していこう。なお、問題は、令和4年4月1日現在施行されている法令等により出題されているが、正解及び解説は令和5年4月1日現在施行されている法令等に基づいて執筆する。

1 誤り。

管理者は、規約に特別の定めがあるときは、共用部分を所有することができる。(区分所有法27条1項)
一部共用部分は、これを共用すべき区分所有者の共有に属する(同11条1項ただし書)が、規約で別段の定めをすることにより、管理者が管理のために一部共用部分を所有できる。(同2項)

(管理所有)
第二十七条 管理者は、規約に特別の定めがあるときは、共用部分を所有することができる。
(略)

(共用部分の共有関係)
第十一条 共用部分は、区分所有者全員の共有に属する。ただし、一部共用部分は、これを共用すべき区分所有者の共有に属する。
2 前項の規定は、規約で別段の定めをすることを妨げない。ただし、第二十七条第一項の場合を除いて、区分所有者以外の者を共用部分の所有者と定めることはできない。
(略)

区分所有法 e-Gov法令検索

2 誤り。

1で、述べたように、共用部分は、区分所有者全員の共有に属する(11条1項本文)が、規約で別段の定めをすることにより、、共用部分の所有者を特定の区分所有者とすることができる。(同2項、同20条1項)
この特定の区分所有者は管理者以外でもよい。

(管理所有者の権限)
第二十条 第十一条第二項の規定により規約で共用部分の所有者と定められた区分所有者は、区分所有者全員(一部共用部分については、これを共用すべき区分所有者)のためにその共用部分を管理する義務を負う。この場合には、それらの区分所有者に対し、相当な管理費用を請求することができる。
(略)

区分所有法 e-Gov法令検索

3 正しい。

管理所有者は、その管理所有する共用部分を保存し、又は改良するため必要な範囲内において、他の区分所有者の専有部分又は自己の所有に属しない共用部分の使用を請求することができる。(同27条2項、同6条2項)

(管理所有)
第二十七条 (略)
2 第六条第二項及び第二十条の規定は、前項の場合に準用する。

(区分所有者の権利義務等)
第六条 (略)
2 区分所有者は、その専有部分又は共用部分を保存し、又は改良するため必要な範囲内において、他の区分所有者の専有部分又は自己の所有に属しない共用部分の使用を請求することができる。この場合において、他の区分所有者が損害を受けたときは、その償金を支払わなければならない。

区分所有法 e-Gov法令検索

4 誤り。

管理所有者は、形状又は効用の著しい変更を伴う共用部分の変更はできないが、(同20条2項、同17条1項)形状又は効用の著しい変更を伴わない共用部分の軽微な変更はできる
(同17条1項かっこ書参照)

(管理所有者の権限)
第二十条 (略)
2 前項の共用部分の所有者は、第十七条第一項に規定する共用部分の変更をすることができない。

(共用部分の変更)
第十七条 共用部分の変更(その形状又は効用の著しい変更を伴わないものを除く。)は、区分所有者及び議決権の各四分の三以上の多数による集会の決議で決する。(略)