今回のテーマは、「貸主の修繕義務」である。

それでは、宅地建物取引士資格試験(宅建士試験)の過去問にチャレンジしてみよう。

令和5年度 宅地建物取引士資格試験 【問9】

【問 9 】 Aを貸主、Bを借主として甲建物の賃貸借契約が令和5年7月1日に締結された場合の甲建物の修繕に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、誤っているものはどれか。
1  甲建物の修繕が必要であることを、Aが知ったにもかかわらず、Aが相当の期間内に必要な修繕をしないときは、Bは甲建物の修繕をすることができる。
2  甲建物の修繕が必要である場合において、BがAに修繕が必要である旨を通知したにもかかわらず、Aが必要な修繕を直ちにしないときは、Bは甲建物の修繕をすることができる。
3  Bの責めに帰すべき事由によって甲建物の修繕が必要となった場合は、Aは甲建物を修繕する義務を負わない。
4  甲建物の修繕が必要である場合において、急迫の事情があるときは、Bは甲建物の修繕をすることができる。

令和5年度 宅地建物取引士資格試験 令和5年10月15日

正解:2

1 正しい。

賃借物の修繕が必要である場合において、次に掲げるときは、賃借人は、その修繕をすることができる。(民法607条の2)

  1. 賃借人が賃貸人に修繕が必要である旨を通知し、又は賃貸人がその旨を知ったにもかかわらず、賃貸人が相当の期間内に必要な修繕をしないとき
  2. 急迫の事情があるとき。

2 誤り。

賃借物の修繕が必要である場合において、次に掲げるときは、賃借人は、その修繕をすることができる。(607条の2)

  1. 賃借人が賃貸人に修繕が必要である旨を通知し、又は賃貸人がその旨を知ったにもかかわらず、賃貸人が相当の期間内に必要な修繕をしないとき
  2. 急迫の事情があるとき。

したがって、Aが必要な修繕を「直ちに」しないときではない。

3 正しい。

賃貸人は、賃貸物の使用及び収益に必要な修繕をする義務を負う。
ただし、賃借人の責めに帰すべき事由によってその修繕が必要となったときは、この限りでない。(606条1項ただし書)

4 正しい。

賃借物の修繕が必要である場合において、次に掲げるときは、賃借人は、その修繕をすることができる。(607条の2)

  1. 賃借人が賃貸人に修繕が必要である旨を通知し、又は賃貸人がその旨を知ったにもかかわらず、賃貸人が相当の期間内に必要な修繕をしないとき。
  2. 急迫の事情があるとき