今回のテーマは、「預金保険制度」である。

それでは、「ファイナンシャル・プランニング技能検定 1級 学科試験<基礎編>(2023年9月10日実施)」で出題された過去問にチャレンジしてみよう。

ファイナンシャル・プランニング技能検定 1級 学科試験<基礎編>(2023年9月10日実施)《問23》

《問23》 わが国の預金保険制度に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。なお、本問における預金は、いずれも日本国内に本店のある銀行に預け入れられているものとする。

1) 当座預金は、その金額の多寡にかかわらず、預金保険制度の保護の対象外となる。
2) 円建ての預入期間を短縮または延長する権利を銀行が有している預金(仕組預金)は、その金額の多寡にかかわらず、預金保険制度の保護の対象外となる。
3) 単に名義を借りたにすぎない他人名義預金は、預金保険制度の保護の対象となる。
4) 名寄せの結果、破綻金融機関に同一の預金者が、担保権の目的となっていない一般預金等の口座を複数有しており、かつ、その元本の合計額が1,000万円を超える場合、当該一般預金等の弁済期(満期)と金利がそれぞれ異なっているときは、付保預金の特定にあたって弁済期(満期)が早いものが優先される。

ファイナンシャル・プランニング技能検定 1級 学科試験<基礎編>(2023年9月10日実施

正解:4

それでは、各肢を検討していこう。
なお、問題は、2023年4月1日現在施行されている法令等により出題されているが、正解及び解説は2023年10月1日現在施行されている法令等に基づいて執筆する。

預金保険制度
預金保険制度は、金融機関が破綻した場合、預金者の保護を図るための制度である。
政府、日本銀行、民間金融機関の出資により設立された預金保険機構によって運営されている。

(1)対象となる金融機関
国内に本店のある下記の金融機関
銀行(ゆうちょ銀行を含む)、信用金庫、信用組合、労働金庫、信金中央金庫 など

(2)対象とならない金融機関
上記金融機関の海外支店外国銀行の在日支店、政府系金融機関 など

(3)対象となる預金等
預金(当座預金、普通預金、別段預金、定期預金、通知預金、納税準備預金、貯蓄預金)、定期積金、掛金、元本補填契約のある金銭信託 など

(4)対象とならない預金等
外貨預金他人名義預金、元本補填契約のない金銭信託 など

(5)預金等の保護の範囲
決済用預金当座預金、無利息型普通預金など)
→預入金額にかかわらず、全額保護

一般預金等
1金融機関ごとに合算して、預金者1人あたり元本1,000万円までとその利息等を保護
仕組預金の利息等は、預入時における通常の円定期預金の店頭表示金利までが保護の対象となり、それを超える部分は保護の対象外となる。
・1,000万円を超える部分は、破綻金融機関の財産の状況に応じて支払われる。

一般預金が複数あり、その元本の合計金額が1,000万円を超える場合には、以下の順位で保護される
①担保権の目的になっていないもの
満期の早いもの
③満期が同じ預金等が複数ある場合は、金利の低いもの

1 誤り。

当座預金は、その金額の多寡にかかわらず、預金保険制度の保護の対象である。

2 誤り。

仕組預金の利息等は、預入時における通常の円定期預金の店頭表示金利までが保護の対象となり、それを超える部分は保護の対象外となる。

3 誤り。

単に名義を借りたにすぎない他人名義預金は、預金保険制度の保護の対象とならない。

4 正しい。

名寄せの結果、破綻金融機関に同一の預金者が、担保権の目的となっていない一般預金等の口座を複数しており、かつ、その元本の合計額が1,000万円を超える場合、当該一般預金等の弁済期(満期)と金利がそれぞれ異なっているときは、付保預金の特定にあたって弁済期(満期)が早いものが優先される

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